リクルートで就転職サイトや学習情報誌の編集長を歴任し、「上司力®」提唱者としてマネジメントやリーダーシップの指南書も数多く出版する前川孝雄氏が、経営者の多いエンリッチ読者に贈る連載第1回です。−−−

他責思考か、自責思考か?
「もう少し会社に商品力があれば、売上げも伸びるんだけど」
「ライバル会社と比べて、ウチは広告の予算がないから」
「もっと優秀な部下がいればなあ」
このような管理職や経営者の愚痴は、誰しもよく耳にすることと思います。
「こんなに人手不足と採用難が続いては、どうにもならない」
「新規事業を展開するにも、割く人材や資金が足りない」
「メンバー間の連携が悪く、変化対応力も弱い…」
厳しい経営環境に立たされたオーナーの、切実な思いの吐露もあるでしょう。
しかし、「これがないから無理だ」「これがあればできるのに」といったことを言い出したらキリがありません。
「ないものねだり」こそ、「失敗するリーダー」の悪しき習慣です。仕事をするうえで、何の不満もないほど条件の揃った環境など、そうそうありません。何より、愚痴ばかり並べていたところで、何一つ状況の改善にはつながりません。
これを「他責思考」(「ダメなのは環境や他人の責任」との考え)と言います。
それに対して、「成功するリーダー」は「あるもので何とかしよう」と発想することができます。例えば、会社に商品力がなければ営業方法を工夫する、チームに経験の浅いメンバーしかいなければまとまりを強化することで全体としての戦力アップを図るなど、どんな環境・条件の下でも、知恵を絞れば何かしら打つ手はあるはずなのです。
これが「自責思考」(「成否を決めるは自分の責任であり行動次第」との考え)の発想です。








