
リクルートで就転職サイトや学習情報誌の編集長を歴任し、「上司力®」提唱者としてマネジメントやリーダーシップの指南書も数多く出版する前川孝雄氏が、経営者の多いエンリッチ読者に贈る連載です。−−−
目まぐるしい変化の時代。失敗確率は高まる
一昔前と比べると、今は経営環境が目まぐるしいスピードで変化しています。
消費者のニーズは刻一刻と変化していきますし、突然参入してきた異業種の競合に市場を奪われてしまうこともあります。革新的な技術の登場で、それまでのビジネスのセオリーがまったく通じなくなってしまうことも珍しくありません。
そんな時代のビジネスはどうしても失敗の確率が高くなります。不透明な要素が多いうえに変化のスピードが速いので、無理のないことなのです。この傾向は今後も変わらないどころか、ますます加速していくでしょう。
失敗が避けられないなかで、今まで以上に大切になっているのが、「数多く打席に立つこと」と「スピードを上げること」と「軌道修正し続けること」です。
「成功するリーダー」は、用意周到に準備し、失敗リスクを計算して潰していくのではなく、準備不足でもまず走り出すのです。
何か月もかけた「机上の計画」では手遅れに
「ただでさえ失敗する確率が高いのに、準備不足では余計に失敗する確率が高くなるだけでは?」と感じる人もいるかもしれません。「失敗するリーダー」は、まさにそのように考え、周到に計画を立て、完璧な準備をしてから行動に移します。
しかし、その「失敗したくない」「失敗する確率を下げる」という発想自体がブレーキになり、VUCAの時代にはもはや通用しなくなっているのです。何カ月もかけて準備を進めているうちに、市場は一変しているかもしれません。そうなると、半年前だったら通用したかもしれない企画が、もはや「今さら」になってしまうわけです。
また、今は、前例のない企画や商品が求められていますから、それに対する市場のニーズは予測が難しい。実際にやってみないとわからない部分が非常に大きいのです。数カ月をかけて準備をして、机上の計画では完璧だったはすなのに大コケする、という事態が当たり前に起こります。
時間をかけて準備をしたのに、結局失敗してしまったら、準備にかけた数カ月間はまったくのムダになってしまいます。
このように、「打席数が少ないこと」自体が、今や大きなリスクなのです。








