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プレミアム会員向け新サービスの動向 3/3    

ポイ探の菊地崇仁氏が、エンリッチ読者のライフスタイルにマッチするクレジットカード、あるいはポイントサービスの付加価値を見出す本連載。今回は、三井住友トラストクラブとPrivateBANKによる超富裕層向けコンシェルジュサービスについて取り上げる。(1/3から読む)−−−

資産管理から日常の相談、各種手配などに対応

プレミアム系クレジットカードの多くが付帯している、コンシェルジュサービス。電話やメール、チャットで各種チケットの手配、旅先でのサポート、ギフト選びの相談など、会員からの多様な要望に対応するもので、専門スタッフが秘書のように会員の代わりに行動してくれます。日常的に利用している方もいるでしょう。

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*写真はイメージ。画像出典:プレスリリース

新しいサービスも登場しているようで、そのひとつが、ダイナースクラブカードを発行する三井住友トラストクラブと、金融資産100億円以上の超富裕層向けファミリーオフィス事業を展開するPrivateBANKによる「プレミアムコンシェルジュ」です。両者は同事業における業務提携に関する基本合意書を7月18日に締結しました。

富裕層市場は拡大の一途を辿っており、両社が発表したリリースによると、2023年に金融資産5億円以上の富裕層は11.8万世帯を突破。年平均約5%の成長率で世帯数は増えているそうです。従来のウェルスマネジメントにとどまらない、より包括的で高品質なライフサポートサービスへのニーズも高まっており、こうした機運を受け、富裕層向けサービスにおいて実績のある両者が、それぞれの知見・ノウハウを集結したサービスを開発するため、今回の業務提携に至りました。サービスの詳細が決まるのはこれからですが、資産管理から日常のさまざまな相談・各種手配まで一元的に対応するプラットフォームを共同で構築し、提供する見通しです。

ダイナースクラブは招待制のプレミアムカードより上位の「ロイヤルプレミアムカード」も発行しています。招待基準や年会費などは非公開で、入会できるのは限定された999名だけ。こういった特別な会員向けのサービスを強化するため、今回の取り組みを始めるのかもしれません。実際のところ、プレミアムカード以上の会員を対象に、フルオーダー旅行を中心とした入会金110万円、年会費165万円の会員制旅行コンシェルジュサービス「D Luxurex」の運営も始めています。プレミアムコンシェルジュは、これに続くサービスと考えるのが妥当でしょう。こういった方針は他のカード会社も掲げており、近しいサービスは続々と登場するかもしれません。

会員の満足度を上げるという点で、体験系のサービスにも力を入れており、スポーツやエンターテインメント系イベントの特別販売はそのひとつです。私も7月下旬に、dカードPLATINUMの先行抽選販売で当たった「横浜F・マリノス vs リヴァプールFC 明治安田Jリーグワールドチャレンジ2025 presented by 日本財団」を観戦してきました。

こういった抽選販売は、以前であればdポイントクラブの会員向けに実施していましたが、最近はdカードGOLD以上を対象にすることが増えました。会員にとっても大きな特典であり、上位カードを持つ動機になります。ドコモは東京の国立競技場や有明アリーナ、名古屋のIGアリーナなどの運営にも携わっており、野球やサッカー、バスケットボールといったスポーツ、エンターテインメント・文化芸術に対する支援・協賛にも積極的です。こういった施設ではイベントも多く、会員向けの特典も用意しやすい立場といえるでしょう。今後も、特別な抽選販売を定期的に実施するでしょうし、他のカード会社も注力する領域といえるでしょう。

菊地宗仁_300

菊地 崇仁 (きくち たかひと)

株式会社ポイ探 代表取締役。大学卒業後、日本電信電話株式会社(現NTT東日本)入社。システム開発に携わる。2002年の同社を退社後、友人と共に起業。ポイント交換案内サービス・ポイ探の開発に携わり、2011年代表取締役に就任。現在All About、カカクコム、ECZine、日経トレンディネットへ記事を提供する他、テレビ・雑誌でも活躍中。著書に「新かんたんポイント&カード生活 (自由国民社)」、「できるAmazonスタート→活用 完全ガイド(インプレス)」他。

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