ENRICH(エンリッチ)

The Style Concierge

心配力が高い人ほど成功する

エンリッチ kaya1805-2

ビジネスや投資の世界では、ある程度の大胆さがなければ成功することはできない。だが、大胆だけではほぼ100%自滅してしまう。成功者にほぼ共通しているのが、極度の心配性である。ここでいう心配とは、世間一般での心配とは異なる可能性が高いが、お金持ちは総じて心配する力が高く、これが成功の秘訣となっている。

自身にノルマを課した段階で挫折を心配した孫正義氏

日本のお金持ちの代表といえばソフトバンクの孫正義社長ということになるだろう。彼は常にリスクの高いチャレンジを続けており心配性とは無縁に思える。だがある意味では孫氏に勝る心配性の人物は存在しないといってもよい。

孫氏は若い頃から世界的な実業家になることを目標としており、そのためには軍資金が必要だと考えた。米国に留学していた孫氏は、軍資金を作るため、発明のアイデアを考えようとしたが、勉強の時間が忙しいということもあり、なかなかアイデアが出てこなかった。

こうした状況を打開すべく孫氏が考えついたのが、1日1個アイデアを絶対に出すというノルマである。だがノルマを課しただけでは、人は簡単に挫折してしまう。孫氏の卓越しているところは、1日に1個アイデアを出すための方法論まで用意してノルマを課すという行為に臨んだところだろう。

これは孫氏の天才ぶりを象徴している話かもしれないが、一方、極度の心配性であることも意味している。ノルマを課すというところまでは誰でも思いつくのだが、孫氏はノルマを課すことを思いついた段階で、同時に挫折してしまうことを心配しているのである。

心配ごとをただ心配しているだけでは本当の心配とはいえない。心配した事態が発生しないよう仕組みを構築するというところまでこないと、究極的な心配性とはいえないだろう。

かつて米インテルの社長を務めていたアンディ・グローブ氏はパラノイア(偏執狂)でなければ生き延びることはできないと述べていたが、それにも通じる話である。

孫氏が帰国し、国内で事業をスタートさせた時も同じであった。孫氏は失敗を避けるため、取り組む事業について厳しい条件を設定していた。だが、設定した条件があまりにも厳しいため、思いついたプランのほとんどが自身の中で不合格となってしまう。
 
だが孫氏は、留学中に磨いた発想法をフル活用し、無数のビジネスプランを立案。最終的に自身の条件に合致したソフトウェアの流通というビジネスモデルを手にすることになる。

加谷珪一

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