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部下の折れない心を育てるマネジメント術

プルデンシャル生命の保険営業マンとして売上げ成績日本一となり、その後営業マネージャーとしてもチームの成績を日本一に導くという偉業を達成。その営業術とマネジメントの才能を活かして、株式会社アイ・タッグを設立したエグゼクティブセールスコーチの小林一光氏に、心の折れない部下を育てるためのマネジメント術を聞いた。

部下の折れない心を育てるマネジメント術

幹部候補は心が折れやすい?

「幹部になるような人たちは、順風満帆な人生を歩んできた人が多いと思います。つまり、育ちがよく学歴も一流、前職でもそれなりに結果を出してきたエリート。裏を返せば、挫折を知らないということです。もちろん全員そうというわけではありませんが、自分の失敗や上司からの注意で心が折れやすい傾向がある。プライドが高く、未経験の仕事の失敗もなかなか認められません。

社会に出ると学生時代と違って“答え”というものがなく、テストで優秀な成績を出してきた人も、社会人になれば正解のないことに対して自分で考え、覚悟を決めて結論を出さなくてはいけない。そういったことを知らないままに成功体験だけを積み重ねてきてしまうと、心が折れやすい人間になってしまうんです。だから、誰でも最初は自転車に乗るのさえ難しいし、うまく正解が導けなくてもその過程が大切だということを教えていく必要があります。」

部下の折れない心を育てるマネジメント術

部下の個性を見極め、強みを伸ばす

「もちろん心が折れやすい人がエリートばかりとは限りません。自信がないゆえに、少しのことでめげてしまう人もいます。まずは部下の個性を見極め、相手に適した指導が必要となります。そのためには相手を徹底的に知ることです。私がコーチをする時は、小・中学校時代はどんな少年だったか、高校・大学時代はどんな青年であったのかと、それぞれ10分ずつ本人に語ってもらい、過去の経歴から相手の考え方や行動、習慣のバックボーンを把握します。人間は同じことを繰り返す生き物ですから、成功体験が多い人はその先も成功する確率が高いし、今まで上手くいかなかった人は失敗しやすい。まれに突然変異を起こして秘めたる素質を開花させる人もいますが、まずは部下のタイプを慎重に見極め、不安要素を取り除く必要があります。

たとえば、自信のなさというのは、失敗体験や自分の弱点からくるもの。その人の強みを見出だし、着目させることができれば自信につながります。なにより、弱点を克服するより、強みを伸ばすほうが早く成長できるものです。また、人の性質は使い方や仕事によって欠点にも強みにもなります。たとえば「感受性がない、空気が読めない」という性質も、相手が嫌がっていることに気付かずどんどん進めてしまうという点で営業における絶対的な強みになります。これらを見極めて活かせるかどうかは、指導する立場の人間によって左右されることを認識して下さい。」

エンリッチ編集部

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