ENRICH(エンリッチ)

The Style Concierge

価格と品質の関係を熟知している

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先日、お金持ちの行動パターンについて取材を受けた時、「お金持ちは基本的にムダな出費はしない」と話した。これに対してインタビュアーから「高級品を買って大事に長く使うという習慣はダメなのでしょうか?」と質問された。高級品を長く使うという習慣はよいことなのだろうか。

どんな目的で使うのか?

たいていの人は、良いものを買って、長く、そして大事に使うよう教育されてきたはずだ。この話は基本的に間違っていないが、成功者からすると少し違う。成功者にとっての支出基準は、良いモノか悪いモノかではなく、その支出に意味があるのかないのかである。

個人的にしか使わないもので、他人に見せる必要がなければ、お金持ちの人なら、高価で良いものを長く使うのではなく、安くて良いものを長く使うはずだ。しかし、モノは自分が使うためだけに購入するわけではない。

一見、ムダに思える高級時計やブランド物の服も、それを身に付けることで、ビジネス上の効果が得られるケースは確実に存在する。またケチケチせず思い切った支出をすることで、人とのコミュニケーションが円滑なるケースも多い。

こうした場面の支出においては、良いモノを長く使えばよいとは限らない。むしろ1度しか着ない服でも、十分な投資効果が得られ可能性があるし、かなりのムダ使いに見えても、プレゼントは盛大にした方が圧倒的に効果は大きい。

重要なのは、必要なモノに対して支出することであり、良いモノに支出することではない。

良い品物だからといって、無意味に高級品を購入し、大事に長く使っても、そこから得られる効果は小さいだろう。逆に必要なモノやコトへの支出が徹底できていれば、単体では無駄使いであっても、最終的には何倍にもなって返ってくる。

不思議なもので、ある程度、お金が自由になると、金額と品質の関係が自然と身に付いてくる。この関係が分かれば、コストパフォーマンスの悪いものは買わなくなるし、自身のビジネスにもよい影響がある。なぜならプライシングというのは、ビジネスでもっとも大事な概念のひとつだからである。

加谷珪一

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