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【55】マイホームを賃貸物件として活用する場合の注意点とは?

資産デザイン研究所代表の内藤忍氏が、資産形成にまつわる悩みや質問に答える、本シリーズ。今回の質問者は、単身赴任に伴い都内のマイホームを賃貸に出そうか、それとも投資用マンションの購入を検討しているようです。ーーー

マイホームを賃貸物件として活用する場合の注意点とは?

Q(質問者):単身赴任が決まり、都内のマイホームを賃貸に出そうと思っています。もう
1つの選択肢として、売却して投資用マンションを購入することも検討していますが、どちらが良いでしょうか。

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A(内藤氏):賃貸物件の選択のポイントは、「想定利回り」と「空室リスク」から考えていくのが基本になります。

まず、保有されているマイホームを賃貸に回した場合、どのくらいの利回りになるのか、売却する場合どの位の価格になるか不動産会社に査定してもらいましょう。想定家賃と物件の実勢価格から、現状の利回りを計算することができます。

新たに中古のワンルームマンションを購入する場合は、現状の表面利回り(毎月の家賃の12倍を物件価格で割ったもの)は、都心で4%半ばですから、それよりも低ければ、投資妙味は薄いことになります。

また、ファミリータイプの物件は、ワンルームに比べ入居率が低くなる傾向があります。ご質問者の方のように自宅として使っていた物件が賃貸に回されることがあり、需給のバランスが崩れやすいからです。せっかくマイホームを賃貸に回したとして、入居者が決まらないと家賃収入は得られません。

ただし、ファミリータイプの場合、入居者の賃貸期間はワンルームより長くなるメリットがあります。お子さんがいる家庭の場合、荷物も多いですから一度入居した物件から再び引っ越すのは手間がかかり、学区の問題などもあります。そういった理由から、長く住み続けるケースが多いのです。とはいえ、マイホームを貸す時は、いつ戻ってくるかも考えたうえで入居者と契約を結ばないと、ご自分がいざ単身赴任を終えたのに、マイホームが使えないということにもなりかねません。

また、フラット35等などの住宅ローンを利用している場合、自宅を賃貸に回すのは、基本的に禁じられています。金融機関に発覚するとペナルティの対象になる恐れもあるので、事前に確かめておくことです。

コストの面も考えましょう。利回り計算の結果、ワンルームの方が投資の魅力があるとしても、売却して物件を入れ替えるには、売買コストがかかります。不動産手数料や登記にかかる費用、さらに物件が値上がりしていれば、譲渡益に対する税金もかかります。

利回りとリスクの比較、そして売買コストから、2つの選択肢のメリット、デメリットを比較して最終判断をするのが良いでしょう。

内藤 忍 (ないとう しのぶ)

株式会社資産デザイン研究所代表取締役社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、金融機関勤務を経て1999年にマネックス証券の創業に参画。同社は、東証一部上場企業となる。その後、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役などを経て、現職。著作は40冊以上。2015年には銀座に「SHINOBY`S BAR 銀座」をオープン。無料のメールマガジン「資産デザイン研究所メール」は購読者が約47,000人という人気

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