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【52】ローンを使った不動産投資は、国内と海外どちらが有利?

資産デザイン研究所代表の内藤忍氏が、資産形成にまつわる悩みや質問に答える、本シリーズ。今回のテーマは「海外不動産投資」です。最近は、円で資金調達をして物件を購入できるようですが、国内不動産に比べてメリットはあるのでしょうか。ーーー

ローンを使った不動産投資は、国内と海外どちらが有利?

Q(質問者):最近、海外不動産も円で借入を行って低利で資金調達出来る方法があることを知りました。国内不動産と海外不動産でローンを使った借入で投資する場合、どちらから始めた方が良いでしょうか?

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A(内藤氏):ご指摘の通り、海外不動産投資に関しても日本国内の金融機関から借入して投資する例が出てきました。特に日本政策金融公庫からの借入は、最長で20年と借入期間には制限があるものの固定金利で借入が可能で、メリットが大きいと言えます。ただし、この借入についてはいくつかの点に注意が必要です。

まず、借入をするのは「不動産投資資金」としてではなく、「新規事業資金」としての位置付けになります。「投資」ではなく「事業」としての借入であることが説明できないと審査に通りません。

そのためには、事業計画書のような資料を事前に準備する必要があります。国内不動産の提携ローンに比べると、時間と労力がかかり、誰でも簡単にという訳にはいきません。

また借入は現地通貨ではなく、円になります。円で借りたお金を、米ドルなど現地通貨に換えて投資しますから、負債と資産の通貨の違いから発生する、為替リスクを取ることになります。

どういうことかというと、例えば円から外貨に交換した時点より円高が進めば、借入金額が現地通貨の物件価格より高くなってしまうことが考えられます。逆に、円安になれば借入の相対的な比率が下がってメリットとなります。ある程度の円高も想定して、借入金額を考えることが大切です。

また、海外不動産をプレビルドで購入する場合、完成までは賃貸収入を得られませんし、完成後も空室のリスクが存在します。同じ不動産投資借入でも国内よりもリスクがかなり高いことを認識すべきです。

日本政策金融公庫以外の民間金融機関でも海外不動産融資に積極的なところがありますが、それぞれによって借入の条件は異なります。一般に国内不動産の借入よりは、高い属性が求められるなど、ハードルが高いようです。

ローンを使った海外不動産投資は国内不動産で経験を積んだ、実物資産投資の中上級者にお薦めしたい投資方法です。初心者は、まずは国内不動産から始めましょう。

内藤 忍 (ないとう しのぶ)

株式会社資産デザイン研究所代表取締役社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、金融機関勤務を経て1999年にマネックス証券の創業に参画。同社は、東証一部上場企業となる。その後、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役などを経て、現職。著作は40冊以上。2015年には銀座に「SHINOBY`S BAR 銀座」をオープン。無料のメールマガジン「資産デザイン研究所メール」は購読者が約47,000人という人気

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