資産デザイン研究所代表の内藤忍氏が、資産形成にまつわる悩みや質問に答える、本シリーズ。今回テーマは「家計の管理」。日本人は現金派が多いのですが、いまはクレジットカードや電子マネーなど、キャッシュレス決済もたくさん。どちらに主眼を置くべきでしょうか。
現金とキャッスレス、家計管理に便利なのは?
Q(質問者):内藤さんは著書で「家計簿はつけるな、クレジットカードを使え」とアドバイスをしています。一方、「家計簿をつけて現金だけで支払え」という意見のファイナンシャルプランナーもいます。どちらを信じたら良いのでしょうか。
A(内藤氏):おっしゃる通り、私はこれまで一貫して「家計簿はつけなくてよい。支払はなるべくクレジットカードを使え」とアドバイスしています。
もちろん、お金との付き合い方には人それぞれです。それこそ現金派の人は日本にたくさんいますし、手軽に支払いをしたいことからキャッスレスを好む人だっています。
そして私の場合、基本方針は、「コストを抑える」、「意味のないことはやらない」、「お金は目的ではなく手段であることを意識する」の3点です。
クレジットカードを持っているとついお金を使ってしまうというのが現金主義者の理由のようです。ですが、私はカードの利用明細を使って毎月の大まかな支出を把握しています。例えば、ある月に支出が多ければ翌月は抑えるなど、明細をもとに家計を管理しているのです。明細自体はペーパーで送られてきたりウェブでチェックできますから手間がかかりません。それに比べて日々の支出を家計簿につけるほうが大変です。
また、クレジットカードを出来るだけ使うようにすることで、現金の必要がほとんどなく、銀行のATMに並ぶこともありませんし、カードのポイントがたまるメリットもあります。
家計簿に関しても、つけるのが好きならやっても良いですが、ただ金額を記録しているだけでは意味がありません。
それに100円、200円といった細かい節約ばかりに時間を割いて、テンションが下がる毎日を送るよりも、収入を増やす方法を考えた方が効率的で前向きな気持ちになれます。
自分に必要なお金を手に入れるには、支出を減らすよりも自分で稼いだり、お金に稼いでもらう方が、自分に向いた方法だと思っています。エンリッチの読者であれば、共感していただけるのではないでしょうか。
家計簿やクレジットカードに対する考え方も、どちらが正しいかということではなく、自分がやりたい方法を選択すれば良いと思います。ただし、今年10月の消費税増税に伴っては、クレジットカードを含むキャッシュレス決済をすると最大で5%のポイント還元を期間限定で実施するなど、現金とキャッシュレスの間で、インセンティブが大きく変わってきます。どちらがお得なのかは明白なこと。同じ消費をするなら、メリットがある手段を選んでみてはいかがでしょうか。