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アジアで高級ブランドが急復活

背景にある経済格差の更なる拡大

なぜ、いち早くコロナが収束したアジア各国で高級ブランドが人気となっているのでしょうか。そこには経済格差の更なる進行というコロナが社会経済に与えた負の側面が大きく関係していると考えています。

コロナで世界でも最悪の死者数を出し、まだ多くの地域でロックダウンが継続している米国ですが、一方S&P500やナスダック総合といった主要株式指数はコロナ後の下落から急回復し、7月以降に連日史上最高値を更新しています。米国だけでなく、中国でも新規上場銘柄の株価が、上場初日に30倍にまで急騰するなど金融市場はにぎわっています。

世界中で何千万人・何億人の失業者を出したコロナ後の現象とはにわかに信じられませんが、米国のヘッジファンドや投資銀行で働く知人・友人と情報交換していると、米国を始め主要国の富裕層は全くコロナによる経済的な悪影響を受けていないことが伝わってきます。

経済格差が大きい米国では金融資産の90%近くを上位10%の富裕層が、60%近くを上位1%の富裕層が握っています。こうした富裕層はコロナで仕事を失ったり収入を減らしたりするどころか、データテックやバイオなどコロナが追い風になる業界に関係していて収入が逆に増えた人も珍しくなく、さらにロックダウンで他の使途がなくなったので、これまで以上のペースで金融資産に投資しているようです。

そして、この金融資産が米国を中心とした世界的な株高でさらに大きく増え、海外旅行などのレクリエーションにも中々使うタイミングがなく、余った資金を高級品の購入に回していると知人のファンドマネージャーが分析していました。

このコロナによる経済格差の拡大が中長期的にどのような影響を社会全体に及ぼすのかについてはまだ見えませんが、少なくとも来年にかけて小売りの回復は高級品市場に掛かっていることは間違いないでしょう。

岡村聡

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