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心配力が高い人ほど成功する

心配はリスクを取るためにある

資産が大きくないうちは、大きな失敗をしても、失うモノはそれほど多くない。だが自身が保有する資産が大きくなるにつれて、失うモノがどんどん大きくなる。

ほんのわずかのミスや、ちょっとした不注意が、巨額の資産の毀損につながることを考えると、お金持ちは心配性にならざる得ない。そして、この心配する能力こそが、高度なリスク管理につながり、さらに資産を倍増させる原動力となる。

ここで言うところの保有する資産というのは、必ずしも金融資産や不動産など、いわゆる投資に関するものだけとは限らない。自身がマネジメントするビジネスや、長年かけて築き上げた人脈、自身の判断力など、将来的にキャッシュを生み出す、あらゆるモノが守るべき資産に該当する。

お金持ちの人は総じて健康に対する意識が高く、食生活もしっかり管理しているケースが多い。それは、自分自身が極めて価値の高い資産であり、将来、富を生み出す源泉であることを自覚しているからである。

お金持ちにとって、自身の判断力が低下したり、思ったように行動できないことは、即、資産の毀損につながる。お金持ちにとって自身の健康というのは資産管理そのものなのである。

心配性であることとリスクを取ることは、正反対なようで実は一致している。

本当のリスクテイクというのは、自身の努力で排除できるすべての問題を解決し、それでも残ってしまった不確実性に賭けるという行為である。本気でリスクを取るなら、ムダなリスクは絶対に排除しなければならない。

そのためには、コントロール可能な問題は、ひとつ残らず洗い出す必要があり、そのためには、極端なまでの心配性になる必要が出てくる。つまり成功者とうのは、大胆なリスクを取るため、毎日、無数の心配を繰り返しているともいえる。

心配力が高いということは、大きな成功を納め、それを持続させるための必要不可欠な条件なのである。この話は、ほとんどの成功者にとって、何らかの心当たりがあるはずだ。

加谷 珪一 (かや けいいち)

経済評論家。東北大学卒業後、投資ファンド運用会社などで企業評価や投資業務に従事。その後、コンサルティング会社を設立し代表に就任。マネーや経済に関するコラムなどの執筆を行う一方で、億単位の資産を運用する個人投資家の顔も持つ。著書「お金持ちの教科書」(阪急コミュニケーションズ)ほか多数。

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