ENRICH(エンリッチ)

The Style Concierge

日頃の言動からお金儲けのゲームは始まっている

お金持ちがいつもにこやかに振る舞えるワケ

人間が心理に左右される動物なのだとすると、表情やふるまいは非常に重要な武器となる。お金持ちは、なぜか、にこやかな人が多いのだが、それは人柄がよいのではなく、戦略的な行動の結果と考えた方がよい。

当たり前のことだが、人は、相手から不機嫌な顔をされることを非常に嫌がる。やっかいなことに不機嫌な表情をしている人は、相手からは逆に優しい対応をして欲しいと思っている。自分勝手と思うかもしれないが、それが現実である。だがこれは、考えようによっては大きなチャンスにもなる。多くの人がして欲しいと思っていることを、多くの人が提供していないのである。

お金持ちの人は、この欲求のギャップを最大限活用しているわけである。

相手に対して、にこやかに振る舞い、自分のファンを増やしていくことが有利であることは分かったが、いつでも余裕を持った態度でいられるとは限らない。それはお金持ちの人にとっても同じなはずである。だがお金持ちの人は、そうでない人に比べて、これを実践できている。それはなぜだろうか。

その理由は、彼等が感情をコントロールできているからではない。感情を理解できているという部分が大きい。感情の取り扱いが上手な人は、自分自身が今、どんな精神状態にあるのか把握することができるのだ。

例えば、自分は今、イライラしている、落ち込んでいる、あるいは気分がよく少しハイになっている、など、感情はコントロールできなくても、その状況は理解することができる。制御できなくても、理解はできる。実はこれが非常に重要なカギとなる。

人間は、基本的に感情に左右される動物である。これは本能なのでどうしようもない。お金持ちの人は、事業や投資に人並み以上の情熱を傾けることができる人物であり、もしかすると、感情のレベルは普通の人よりもさらに激しいかもしれない。
 
感情がコントロールできていると思っていても、実際には、感情が物事の判断に多くの影響を与えてしまっている。したがって、感情を抑えるのではなく、自分が今、どのような精神状態にあるのかについて知ることの方がむしろ重要なのである。
 
自分がイライラしていると理解できれば、取引先と話をするときに、嫌な印象を与える可能性があると判断できる。その場合には、打ち合わせの時間を変えるといった措置を取ることで、つまらない失敗を回避することが可能となる。逆に気分がよいと分かっていれば、面倒な仕事をその日に処理してしまうといった工夫もできる。感情と対決するのではなく、その感情をうまく利用して、最適な仕事の仕方をアレンジするのだ。

著名な実業家などが、常に魅力的な振る舞いが出来ているのは、感情を制御しているのではなく、戦略的にスケジュールを組んでいるのだ。

加谷珪一

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