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アストンマーティン DB11

デザインのとりまとめは、クリエイティブチーフオフィサー(CCO)のマレックライヒマンである。one-77をこの世に送り込んだ張本人だ。そう考えればone-77のデザインテイストが取り入れられるのは不思議じゃない。というか、かつてポルシェが959やカレラGTを送り出し、あとから911にそのデザインコンセプトを注入したのと同じ手法となる。

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クリエイティブチーフオフィサーのマレックライヒマン氏

そんなDB11の走りをひと言で表現するならば、新世代のアストンマーティンそのもの。そりゃそうだ。基本骨格からパワートレーンまで異なるのだから、これまでのイメージとは別モノとなる。

具体的にはボディがカッチリして、全体が軽い。足回りの剛性も高く、急なヨーイングの発生からコーナリング中の路面の段差のこなしまで、バタツくことはない。ミズスマシが水面をスイスイ泳ぐがごとく、気持ちよく路面を駆る。

つまり、なにがいいたいかというと、乗り心地がメチャメチャいい。ロープロタイヤを履きながら、言ってしまえばサルーンのような乗り味だ。それとエンジンの滑らかな吹け上がりもそう。

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十八番となる荒々しい雄叫びはそのままに、スムースさが格段に上がった。洗練されたといった感じだろうか。

そう考えると、これまでのVHアーキテクチャー系モデルは全体に荒々しさが強かったと思う。ヴァンキッシュからDBSにスイッチしたあたりでかなり洗練されたイメージを持ったが、それと今回とでは大きな差がある。正直よくここまでたどり着いたなぁ、といった感想だ。

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といったDB11。まずは乗ってみて判断をしてもらいたい。新世代アストンマーティンの方向性がわかるはずだ。アストンマーティンの進化の度合いは……想像を遥かに超えていた。

九島辰也

九島 辰也 (くしまたつや)

モータージャーナリスト兼コラムニスト/ 日本カーオブザイヤー選考委員。「Car EX(世界文化社)」「アメリカンSUV/ヨーロピアンSUV&WAGON(エイ出版社)」編集長「LEON(主婦と生活社)」副編集長を経て、現在はモータージャーナリスト活動を中心に様々なジャンルで活躍。2015年からアリタリア航空機内誌日本語版編集長、2016年から「MADURO(RR)」総編集長もつとめる。

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九島辰也

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