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【1】海外不動産:現地には足を運ぶべき?

資産デザイン研究所代表の内藤忍氏のもとには、投資や運用に関する質問・相談が日々寄せられています。ここでは、幅広い運用対象、さらには資産形成の基本から応用まで、お金にまつわる疑問を、内藤氏がQ&A形式で答えていきます。エンリッチ読者も関心の高いトピックは多いはず。そんな要望に応えた、新シリーズが始まります!ーーー

海外不動産:現地には足を運ぶべき?

Q(質問者):内藤さんは、国内の不動産だけではなく、海外の不動産にも投資していると聞きます。私も興味を持っていますが、仕事がなかなか忙しく現地に行くことができません。実物を見ないまま買ってしまうのは危険でしょうか?

A(内藤氏):ご指摘の通り、私は国内外の収益物件を、いくつか所有しています。ここ数年、日本の不動産は価格上昇に伴い利回りは低下していますが、首都圏など需要が高くテナントに困らない物件であれば、キャッシュフローの出る物件も存在します。

国内であれば目が届く範囲で運用しているという安心感もあります。また、現状であればかなりの低金利で融資を受けることができるメリットもあります。ただし、資産価値が高い、需要があり資産自体の値崩れリスク、家賃の下落リスク、空室リスクを抑えられる物件を選ぶのは簡単ではありません。

一方海外ですが、日本に比べると経済成長率が高く、今後に期待できる国や地域は少なくありません。ASEAN諸国はそのひとつで、かつての日本の高度成長期を迎えようとしている国は、いくつかあります。先進国でもアメリカのように景気が底堅かったり、欧州も地域ごとの特性を調べると、例えばイギリスの大学は海外から多くの留学生を受け入れていることもあり、学生寮が不足しているなど、思わぬニーズを発掘することができます。そういった所の収益物件に投資をすれば、日本で手掛ける以上のリターンが期待できるケースは少なからずあるようです。

海外に投資をすることで、資産を分散することもできます。ただし、国ごとで外国人投資家に対する規制や法律は異なり、地政学リスクも伴いますから、そういった点を理解しないことに資産を投じるのはお勧めできません。綿密なリサーチの上、購入を判断するのが、海外不動産を始める上での鉄則です。

海外不動産に関しては、現地に行かないで購入することは原則やめた方が良いでしょう。もちろん、現地を視察しなくても信頼できる販売会社を見つけ、しっかりとした物件を手にする可能性はないとは申しません。とはいえ、実際に物件を目の当たりにしてから買うのは「後悔を避けるため」に必要なプロセスだと私は考えています。

私自身、これまでカンボジアやタイ、フィリピンといった国を視察してきましたが、たとえわずかな時間であっても現地の空気に触れることで、日本国内で書籍を読んだり、セミナーに出席しても手に入らない、貴重な情報を得られました。

現地に足を運ぶことで物件だけではなく、周辺環境や、今後のインフラ開発のスケジュールなど、「そこでしか得られない」リアルな情報を得る貴重な機会にもります。物件だけではなく国や街の雰囲気、そこに暮らす人々の様子、エリアの利便性や不動産ニーズを肌で感じることにより、より総合的に購入すべきか否か判断できるわけです。

もし、すぐに物件を買う予定がなくても、現地を先に見ておくと、大きなアドバンテージになります。出張やプライベートの旅行のついでに、チェックしてみてはいかがでしょうか。

内藤 忍 (ないとう しのぶ)

株式会社資産デザイン研究所代表取締役社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、金融機関勤務を経て1999年にマネックス証券の創業に参画。同社は、東証一部上場企業となる。その後、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役などを経て、現職。著作は40冊以上。2015年には銀座に「SHINOBY`S BAR 銀座」をオープン。無料のメールマガジン「資産デザイン研究所メール」は購読者が約47,000人という人気

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