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仮想通貨の世界 4/4

加納 私は、日本ブロックチェーン協会(JBA)の代表理事も務めていますが、業界全体でプロモーションをしていく必要はあると感じています。金融庁をはじめ、当局とも連携しながら普及を進めていきたいです。当社としても、いまは60万人のユーザーがいますが、今年中には100万ユーザーを目指します。さらに、日本全体で1000万ユーザーを超えると、ある程度普及したといえるようになり、なんとなく電子マネーの代替として認知されるようになると思います。

内藤 ビットコインの普及を促進するのに、ユニークなサービスも提供しているようですね。

加納 一般的にビットコインを持つには、取引所を介して自身の円をビットコインに両替する、友人や知人から買う・受け取るということが想定できますが、他に挙げるとしたらアフィリエイトです。同業他社でも実施していますが、当社であれば楽天と提携していて、我々のサイトを経由し楽天市場で商品を購入すると、商品価格の0.6%のビットコインを受け取れ、かつ1%の楽天スーパーポイントも付与されます。あるいはデルであれば最大2万円がオフになり、商品価格の3%相当のビットコインももらえます。こういったキャンペーンも利用しながら認知度を高めたい次第です。

また、ビットコイン専用のネットショップ「ビットコインをつかう」も運営していて、ここではアマゾンギフト券やnanacoギフト券、家電や電子書籍なども扱っています。出店者としては㏚、ブランド価値の向上につながり、新たなマーケットプレイスとしてご活用いただいています。はじめて1年ほどたちますが、売り上げは右肩上がりで、ここからも、ビットコインの利用者は着実に増えていると実感するほどです。

現在は、円をビットコインに両替し、アメリカの取引所で売ってドルにするという流れでキャッシュアウトできますが、いずれは当社内でも対応できるようにしたいとも考えています。そうすると、円とビットコイン、ビットコインとドルという為替ができ、銀行よりも低コストで両替もできるように。仮想通貨同士の両替もできるようになれば、一般の通貨、仮想通貨が入り乱れ、新たなお金の概念も生まれると思います。

内藤 仮想通貨は危ないと短絡的に考えるのではなく、怖いからやめておこうとすると、これからの世界の流れに取り残されるでしょう。仮想通貨は銀行など既得権益側からすると大打撃で、金融機関は最初、反対に意向を示していました。ところが現在、一緒にやったほうが得だと考え歩みを見せ始めていて、政府も後押しする方向です。信頼性が高まれば利用者も増えていくでしょうし、これからが楽しみです。加納さん、本日はありがとうございました。

加納 こちらこそ、ありがとうございました。


加納裕三(かのう・ゆうぞう)

株式会社bitFlyer代表取締役
1976 年生まれ。2001 年に東京大学大学院工学系研究科修了後、ゴールドマン・サックス証券にてエンジニアとして自社決済システムの開発を行う。その後デリバティブ・転換社債トレーダーとして機関投資家向けマーケットメイク、自己資産運用等を行う。
2014 年 1 月に株式会社 bitFlyer を共同設立。
日本ブロックチェーン協会(JBA)代表理事。

内藤 忍 (ないとう しのぶ)

株式会社資産デザイン研究所代表取締役社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、金融機関勤務を経て1999年にマネックス証券の創業に参画。同社は、東証一部上場企業となる。その後、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役などを経て、現職。著作は40冊以上。2015年には銀座に「SHINOBY`S BAR 銀座」をオープン。無料のメールマガジン「資産デザイン研究所メール」は購読者が約47,000人という人気

連載コラム

内藤忍

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