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ソフトバンクはまったく新しい次元に突入した

ソフトバンクがとうとう純利益1兆円超えを達成した。純利益で1兆円を超える企業というのは、日本ではトヨタなどごく限られている。ソフトバンクは、まさに日本を代表する企業に成長したことになる。

ソフトバンクグループが10日に発表した2017年3月期の決算は驚くべき内容だった。売上高は前期比横ばいの8兆9010億円だったが、営業利益は前年比12.9%増の1兆259億円となり、税金などを差し引いた当期純利益は1兆4263億円と1兆円の大台を超えた。

ソフトバンクは本業である通信事業に加え、投資事業も行っている。今回の決算も投資による利益が大きいというイメージがあるが、中身を見るとそうではない。確かに、投資先である中国の電子商取引サイト・アリババの売却益やフィンランド・スーパーセルの売却益などが含まれているものの、今回1兆円超えを達成できたのは、本業である通信事業が好調に推移したからである。

携帯電話を中心とする国内通信事業が好調で利益を押し上げたほか、これまで苦戦が続いていた米国の携帯電話会社スプリントの業績がようやく回復し、これが業績に大きく貢献した。

ソフトバンクは、216億ドル(当時のレートで約1兆8000億円)を投じて、米国第4位(当時は3位)の携帯電話会社スプリントを買収したが、同社は、契約者の減少に歯止めがかからず赤字を垂れ流している状態だった。当初はリストラを進め、すぐに反転攻勢に出る見込みだったが、計画通りには事は進まず、スプリントの赤字がソフトバンク全体の業績の足を引っ張るようになってしまった。

だが、ここ半年でスプリントの業績は大きく改善した。2017年3月期における営業利益は17億6400万ドル(約1960億円)と前年と比較して5倍以上になった。まだ高収益とは言えないが、赤字を垂れ流していた頃と比較すると状況はかなり改善している。

加谷珪一

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