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アートオークションに潜入 国内アート市場の最前線

プレビュー参加者に話を聞いてみた

プレビュー開催日は平日だったが、夕方になると人足が徐々に増えてきた。作品の品定めだろうか? コンディションチェックだろうか? みな真剣に作品に見入っている。どのような目的で会場を訪れているのか確認するべく、参加者にインタビューを試みた。

上原拓真さん 34歳 大手広告代理店勤務

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これまでSBIアートオークションには3、4回の参加経験があるという上原さん。上原さんが狙うのは日本の若い作家。

「作品を買うとき、ギャラリストやアーティスト本人とのコミュニケーションを大事にしています。会話をしていい思い出になったら買いますね。もうこの世にいない作家とは話せないし新作も出ないけれど、国内の若手作家ならプライスも現実的だし、会って話せるのが大きいと思います。日本のオークションだと100万円以下でも多くの作品が買えますし」。

アート作品を初めて購入したのは29歳の頃。友人がギャラリストだったことがきっかけで、そこからコレクションに興味を持ち始めたとのこと。現在は10点ほどの作品を所持しているという。

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「アートを買うときは、もし値上がりすればラッキーかな、くらいの気持ちでいます。そのくらい気楽なほうが結果的に投資になるかもしれないし。なにより、株や不動産よりもアートは買う楽しみがありますからね」。

島林秀行さん 34歳 シンクタンク勤務

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SBIアートオークションには2012年の第1回から参加している島林さん。34歳という年齢にして、200~300点の作品を所持している筋金入りのコレクターでもあり、その知見を活かしてアート系のメディアやイベントにも出演している。

「コンテンポラリーアートは18歳の頃からいろいろ見ていますが、実際に買うようになったのは4年ほど前からですね。僕が好きなのは新しいことに挑戦する若い作家。生きている作家とはコミュニケーションも取れるし、そこから僕自身刺激を受けることもあります。仲良くなった作家とは飲み会や旅行に行ったりもしますよ」。

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他のアートコレクターとも積極的に交流を持つ島林さん。「たとえば、僕より年長の企業経営者の方ともアートでつながることで平等に話せるし、現代アートによって社会の現状や課題についてのディスカッションもできる。アートには社会的な価値もあるんです」。

現在、同世代のコレクター仲間は指を折って数えられるくらいとのこと。「まだまだ少ないですが、裾野は徐々に広がってきていると感じます」と答えてくれた。

エンリッチ編集部

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