ENRICH(エンリッチ)

The Style Concierge

クレカにこだわる理由

コンシェルジュ・サービスも人によって会社は様々

アメックスの場合、限度額が設定されていないのではなく、カードの利用状況によって顧客事に限度額が設定されていると考えた方よい。

同じアメックスでも、ある利用者は100万円までしか使えなかったり、別の利用者は500万円まで使えたりする。場合によってはコールセンターに問い合わせる必要があるので、人によっては面倒だと感じる人もいる。だが、逆に考えれば、常にカード会社とやり取りすることで、臨機応変に対応してもらえるということでもある。

おそらくアメックスを愛用している利用者は、カード会社との密接なやり取りという部分を高く評価している可能性が高い。実際、震災直後など、アメックスは被災者の決済に対して柔軟な対応を行っている。

一方、ドライで合理的な人は、限度額が明示的に示されている方がよいと考える。このようなタイプの人は、純粋に限度額が高いカードを望む傾向が強く、極論するとカードの色にはあまりこだわらない。

コンシェルジュ・サービスに代表される各種の付帯サービスもお金持ちが望むサービスとされているが、筆者の印象では好みが分かれているようだ。

確かにコンシェルジュ・サービスを使えば、航空券の手配や飲食店の予約などを一定範囲まで任せることができる。カード会社によっては、カード決済しないサービスについても対応してくれる。

ただ、こうしたプレミアカードをフル活用する層であれば、秘書が付いていることも多く、自身で手配する人であっても、エアラインの特徴や席の取り方などにこだわりを持っている。

こうしたサービスを利用するのは、本当に時間がなく、とにかく他人に任せてしまいたいというタイプの人なので、全員が全員というわけではないのだ。

最近では多くのプレミアカードに空港のラウンジサービスが付帯しているが、たいていのお金持ちはビジネスクラスに搭乗するので、そのメリットをあまり享受できない。希に途上国などで一部区間をエコノミーにせざるを得ないケースがあるが、こうした国では有料でラウンジが使えることも多いので、カードのラウンジサービスが必須にはならない。

結局のところ、クレジット・カードの選択は自身のライフスタイルに大きく左右されるものであり、すべてのお金持ちに共通した特徴が見られるわけではない。収入や資産額にかかわらず、自身にとって便利なカードを選ぶというのがベストということなのだろう。 

*この記事は2018年11月に掲載されたものです

加谷 珪一 (かや けいいち)

経済評論家。東北大学卒業後、投資ファンド運用会社などで企業評価や投資業務に従事。その後、コンサルティング会社を設立し代表に就任。マネーや経済に関するコラムなどの執筆を行う一方で、億単位の資産を運用する個人投資家の顔も持つ。著書「お金持ちの教科書」(阪急コミュニケーションズ)ほか多数。

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