ENRICH(エンリッチ)

The Style Concierge

「いつかは」というキーワードはない

「いつか世界一周旅行に行ってみたい」「いつかお店を持ってみたい」。「いつか」というキーワードは、多くの人にとって一種の呪文のようになっている。だがお金持ちにとって、この「いつか」というキーワードほど理解不能なものはない。お金持ちにとって「いつか」という概念自体が存在しないからである。

エンリッチkaya1807-1

当然のことだが、お金持ちはお金を持っているので、世界一周旅行ができたり、お店を持てるという話をしているわけではない。お金持ちの人は、お金持ちになる前から、そのように行動してきたというケースが多く、そうだからこそお金持ちになれたと言い換えることができる。

「いつかは」というキーワードは「行動しない」という意味

どうしても旅行に行きたいところがあるのなら、すぐにでも行けばよい。格安チケットを使った貧乏旅行なら世界一周でも何とかなる。会社を休めないという人もいるかもしれないが、本気で10日間の休みを取ろうと思えば不可能な話ではない。

本当にお店が欲しいなら、方法はいろいろある。お店にもいろいろな形態があるし、今ではクラウドファンディングといった便利なプラットフォームがあり、資金調達の手段も多様化している。工夫して知恵を絞る人なら、そもそもお金をかけずにお店を持つこともできる。

つまり「いつかは」というキーワードは、事実上、行動しないという意味であり、こうした願望を持ったり、それを人に話すことで、とりあえずその場は満足出来てしまうということなのだ。

ところがお金持ちの人は、(お金持ちになる前から)こうした感覚が理解できない。

いつかは店を持ちたいと思っているのに、その状況に到達していない自分を見ると腹立たしくなる。何とかして、今すぐ店を持つ方法はないかと考えてしまうのだ。いろいろ工夫したものの、結局は実現できなかったという自分を想像するとさらに腹立たしさが募り、ますます本気で店を持つ手段を真剣に考えてしまう。

実は、こうしたマインドが成功をもたらしているというケースは多い。

人はよほどの天才でもないかぎり、大きなビジネスを一発で成功させることはできない。成功者は多かれ少なかれ、たくさん動いており、その中で小さな失敗を重ねている。自分がやりたいと思ったことは、すぐに実行するという機動力こそが、小さな失敗と成功の積み重ねとなり、これが最終的にビジネスのノウハウとして結実してくる。

人によってビジネスをスタートさせる理由は様々だが、半ば衝動に突き動かされる形で、気がついたら起業していたという人が多いのもうなずける話だ。

加谷珪一

Return Top