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人より半歩先に行く

イノベーションに対する人々の心理

イノベーションに対する人々の心理は、マーケティングの世界ではかなり体系化されている。新しく画期的な技術に対する人々の反応は主に以下の5種類に分類される。

 ①革新者
 ②初期採用者
 ③前期追随者
 ④後期追随者
 ⑤遅滞者

革新者に属する人は全体の2.5%程度しかおらず、イノベーションの初期段階では、こうした冒険心に溢れた人たちの利用が中心となる。続いて全体の13.5%程度といわれる②の初期採用者が受け入れ始め、やがて本格的な普及が始まり、③以降の人が利用を開始する。

こうした新しい技術の波に乗るためには、本格的に普及する前に、手を付けておく必要がある。新しい技術が市場に本格的に拡大する境目は普及率15%といわれているので、②の初期採用者の中に入っていないと、その果実を手にすることは難しいということになる。
 
だが、いち早く動き、新しいものは何でも受け入れればよいのかというとそういうわけではない。新しい技術はうまくいくものばかりではないからだ。結局、普及せずに消えていくものや、先行者メリットが少なく、後発の大手企業がすべての利益を奪ってしまうものも多い。

またタイミングを間違ってしまうと、普及する技術であってもその果実を得られないこともある。上記の分類では①に入ることはデメリットの方が多いのである。

目の付け所はいいのにタイミングが早すぎて失敗してしまった典型が、ベストセラー書籍「社長失格」でも有名になったハイパーネットの板倉雄一郎氏のケースである。

加谷珪一

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