ENRICH(エンリッチ)

The Style Concierge

人より半歩先に行く

エンリッチrichmind4-3

*2015年6月22日掲載。再構成してお届けします。

大きなイノベーションが発生する時期は、ほとんどの場合、お金儲けのチャンスになっている。一方、変化に対応できなかった人が富を失うタイミングでもある。大きな富を作り、それを維持できている人は、時代の変化の捉え方がうまい。彼等に共通しているのは、人より半歩先に行くという絶妙なタイミングである。

イノベーションは昔から存在している

イノベーションと聞くと最近の話題のように思えるが決してそうではない。イノベーションはいつの時代も発生しており、同じようなパターンを繰り返している。

古くは1830年代、英国で鉄道という、当時としては驚異的なイノベーションが登場し、近年のネットバブルもびっくりの株価になったことがある。英国に遅れて近代化を開始した日本でも、やはり明治時代に巨大な鉄道株バブルを経験した。

1920年代には米国で自動車が一気に普及し、GM(ゼネラル・モータース)の株価は何と200倍にも高騰した。日本でも戦後、自動車の普及が一気に進んだ時代には、トヨタの株価は65倍になっている。

こうした時代の変化にスムーズに対応できた人とそうでなかった人とでは、最終的に大きな経済的格差が生じるのは当然のことといってよいだろう。

お金持ちの人とそうでない人とでは、こうしたイノベーションに対する意識はかなり異なっている。お金持ちの人はイノベーションを目の前にした時、好き嫌いという感情よりも、好奇心の方が優先する。しかし、お金持ちになれない人は、好奇心よりも好き嫌いの方が優先してしまう。結局、周辺の多くの人が使うようになってから、それを受け入れるという状況になるため、常に負け戦となってしまうのだ。

お金持ちになりたければ、まずはこうしたイノベーションに対して積極的になる必要があるのが、常に最先端を突っ走ってしればよいのかというとそうではない。最先端には過度なリスクが付きものであり、ここからは一歩引く姿勢も必要となる。

この中でちょうど頃合いのよい立ち位置を確保できた人だけが、大きな富を得られる仕組みだ。

加谷珪一

Return Top