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情報の受け止め方

年齢によるバイアスを割り引けば、常に新しい感覚を維持できる

ランドセルの素材で有名なクラレは、毎年、小学1年生とその親に、「将来就きたい職業」と「親が将来就かせたい職業」に関するアンケート調査を実施している。

調査結果を見ると、子供が就きたい職業は基本的に定番なものが並ぶ。男の子で1位となったのはスポーツ選手、女の子はケーキ屋・パン屋だった。基本的な傾向は毎年変わらないが、子供の感覚はその時代の雰囲気をそれなりに反映するので、順位には変動が見られる。

例えば、男の子では、TV・アニメキャラクター(厳密には職業ではないが)の順位がこのところ急上昇し、2014年は4位に入っている。またTV・アニメキャラクターほどではないが、女の子のランキングでは芸能人の順位がやはり顕著に上昇している。

これに対して順位の変動が極めて少ないのが、親が就かせたいと考える職業である。これは完全に固定化しており、ここ20年でほとんど動きがない。

男の子の親の1位は毎年公務員で、2位と3位はスポーツ選手と医師となっている。4位以下も多少の順位の変動はあるが、子供ほどの動きは見られない。ちなみに、女の子の親は一貫して看護師がトップである。

小学校1年生の親ということになると、20代あるいは30代ということになるが、どの時代においても、この世代の回答は同じ内容に収束する。つまり、思考回路がほぼ固定化されている可能性が高いのだ。やはりこのあたりが、柔軟さと頑固さの境目なのかもしれない。

お金持ちの人は、そうでない人に比べて若々しい印象を周囲に与えていることが多い。

それは来ている服などの効果もあるが、もっとも大きいのは、やはり気持ちの問題である。お金持ちの人は、年齢の情報バイアスとそれがもたらす経済的デメリットをよく理解しており、自分が得た感覚から少し割り引いて発想するクセが身に付いているのである。

こうした、ちょっとした努力が、最終的には経済力の差となって表面化してくるのだ。


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加谷 珪一 (かや けいいち)

経済評論家。東北大学卒業後、投資ファンド運用会社などで企業評価や投資業務に従事。その後、コンサルティング会社を設立し代表に就任。マネーや経済に関するコラムなどの執筆を行う一方で、億単位の資産を運用する個人投資家の顔も持つ。著書「お金持ちの教科書」(阪急コミュニケーションズ)ほか多数。

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