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国内不動産投資 vol.3

資産デザイン研究所代表の内藤忍氏が、各界のプロフェッショナルを招いて、投資談議に花を咲かせる、この企画。第3弾は、日本財託の重吉勉社長をお迎えして、不動産投資について対談。今回は、都内の中古ワンルームマンション投資の魅力について迫る。

エンリッチ 内藤忍のマネーカフェ 不動産投資4

インフレ時代に不動産投資は有利

内藤 これからインフレになると、預貯金の価値は実質的に下がります。ですが不動産は家賃と物件価格の上昇が期待できることから、対抗力があるのは明白です。しかしながら不動産投資には、地震や火災といった災害を懸念する声も多いようです。その点はいかがでしょうか。

重吉 私自身は東日本大震災の後、2011年3月31日に東北自動車道が開通したと同時に、救援物資を届けるため社員と一緒に現地へ赴きました。

そこで、1日をかけて仙台の市街地にあるマンションをくまなく調べたのですが、実のところ、大きな被害を受けたマンションを見つけることに苦労したほど。なかには損傷の激しいマンションもありましたが、それらに共通するのは旧耐震基準の古い物件だということです。対して、新耐震基準で建てられた物件は、大地震にも耐えられるということが分かりました。ですから当社では、新耐震基準の分譲マンションしか扱っていません。

また、地震の直後は火災のリスクもあります。なかでも木造住宅の密集エリアは影響を受けやすいので、防災地域、あるいは緊急車両が入れる地域の物件を選ぶようにしています。

物件は“入居者目線”で選ばないといけない

内藤 これらは、長年不動産投資に携わってきたプロだからこそ、気づくことですよね。

重吉 皆さんが間違えるのは、広くて設備が豪華など、自分が住む基準で物件を選んでしまうことです。ところがワンルームマンションの主な入居者である若い世代のビジネスマンが第一に求めるのは、手頃な家賃と立地。これに尽きます。そうなると、都心で駅から近い、耐震性に優れたRC構造の分譲ワンルームマンションとなるわけです。

内藤 ニーズが高いと空室も抑えられます。そもそも、借りたいという需要はたくさんあるのに、供給が急激に増えないタイプの物件は、不動産投資の観点からメリットが際立ちます。東京23区には、それぞれワンルームマンション規制条例があり、新築する場合はファミリータイプと組み合わせる必要があるなど、開発が難しいのが現状……。供給が増えにくいのですから、手堅い需要が見込めます。

重吉 さらに、新築マンションは地価と建築費の上昇で、販売価格は高騰の一途。都心3区なら分譲マンションで坪単価400万円、この前に飯田橋で分譲したワンルームマンションは、約20平米で3000万円もしました。大田区など都心の外れでも2500万円は下りません。これでは、さすがに実質利回り5%は厳しいでしょうね。

ところが築10年以内の中古マンションは、それに比べて1000万円は価格が安く、しかしながら家賃は新築とそれほど変わりません。ならば、収益性の差は歴然です。

ーーー新築に比べて高い投資効率が見込める中古ワンルームマンション。物件選びさえ間違えなければ、リスクを抑えられることもわかった。次回、最終回では、国内不動産投資の今後について、プロフェッショナル同士が本音を語る。


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内藤 忍(ないとう しのぶ)

株式会社資産デザイン研究所代表取締役社長
一般社団法人海外資産運用教育協会代表理事
東京大学経済学部、MITスローン・スクール・オブ・マネジメント卒業(MBA)。

大学卒業後、住友信託銀行に入社。
1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。
その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。
2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。

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早稲田大学オープンカレッジ、丸の内朝大学などで講師を務め、雑誌、ネットでの連載コラムを担当。主な著書にシリーズ10万部を超えるベストセラーとなった「内藤忍の資産設計塾」シリーズ。「60歳までに1億円つくる術」「「好き」を極める仕事術」「丸の内朝大学マネーの教科書」など多数。最新刊は「究極の海外不動産投資」(幻冬舎)


重吉勉(しげよし・つとむ)

株式会社日本財託代表取締役
株式会社日本財託管理サービス代表取締役

1962年、石川県生まれ。早稲田大学社会科学部中退。1990年に株式会社日本財託を設立するが、間もなくバブル景気が崩壊。それまで羽振りの良かった不動産会社が次々と倒産するなか、「生き残るには地道な固定収入が大切だ」と気づき、「不動産業の原点は管理業だ」と確認。中古ワンルームの仕入れ、販売、その後の賃貸管理に業務を特化して現在にいたる。
30年間の不動産管理業務を通じ、失敗した人を多く見たこと、また、自分自身の苦い経験などから、「失敗しないための不動産投資法」などのセミナー活動も積極的に展開。「出逢った人のご縁を大切に、まめまめしく働き、お客様と一生涯のお付き合いを築き、安心と信頼の輪を広げます。」を経営理念とし、東京都でもっとも信頼される不動産管理会社を目指している。

日本財託グループ

内藤忍

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