ユニークなモチーフを題材に。個性が光るアート

個性が光るアーティストの作品を展示する「MAKI Gallery」。2003年に戦後の前衛芸術家を扱うギャラリーとして設立された後、徐々に新進気鋭の現代美術家に焦点を移し、 2014年には表参道に、2020年には天王洲のTERRADA ART COMPLEXに大型スペースを新設しました。国際的に活躍するアーティストの作品から、日本の若手アーティストまで幅広く紹介しています。

豊かな色彩と立体感のある質感が目を引く、水面に映る人体を描いた「Figure」シリーズは、鎌倉を拠点に活動する作家、鍵岡リグレ アンヌの作品です。

パネルにジェッソで下地を作り、油絵具に砂を混ぜたもので層を作成。凹凸の部分には布を貼り付け、素材のしわを利用して立体感を出しています。
展示されていた2枚の絵画は、実際に鎌倉の長谷寺で観光客が水面に映り込む様子を取材し、1ヶ月から1か月半の制作期間を経て形にしたそうです。
水面を題材にした作品を創り続ける理由は「具所的なものが抽象的に移り変わる瞬間に強いエネルギーを感じるから」とのこと。水の流れにより抽象化される水面を、アートという形で体現した彼女の作品からは大きな可能性と美しい力強さを感じました。

田村琢郎の「Lovers/wall mounted」は、2本のカーブミラーが互いを見つめ合っているかのように抱き合う形が目を引く立体です。
アスファルトや道路標識、カーブミラーなど、交通や都市のインフラにまつわるモチーフをしばしば取り上げる彼の作品のなかでも、離れがたい恋人たちとしてミラーを擬人化した「Lovers」シリーズはとくに根強い人気を誇っています。
モチーフを本来の文脈や機能から切り離すことで新たな意味と存在感を与える、とてもユニークな作品ですね。

「有機的な曲線上の点を減らすことによる直線化が起こす絵の崩壊とその段階」をコンセプトに掲げる、後智仁の作品も見逃せません。株式会社博報堂へ入社し、キャリアを重ねたのちに株式会社WHITE DESIGNを設立。クリエイティブディレクター、アートディレクターとして現在も活躍しているという異例の経歴を持つアーティストで、極限までそぎ落とされたシンプルな構図と、エアブラシで何層にも吹きつけを重ねた深く重厚な色合いが特徴的です。
天王洲のギャラリーでは、今回紹介したアートを含む所属作家の個展を定期的に開催しているそうですよ。
レポート前編はここまで。4月10日公開の後編では、アートフェア東京2026のメインビジュアルにも採用された宮島達男が手がける壮大なプロジェクトや、甲冑を身に着けた武将に特化した彫刻を展示するギャラリーなど、引き続きアートの魅力を余すことなくお届けします。
TEXT:田宮有莉







