繊細で迫力ある「書」を唯一無二の形で表現

続いて編集部が向かったのは、京都に本社を置く美術商「思文閣」。昭和12年に創業して以来、美術品や古書籍の販売、ギャラリー運営や出版事業を手掛け、近年では海外のイベントにも積極的に参加しています。

アートフェア東京2026では書家・石川九楊の作品を展示。一見抽象画のように見える作品はすべて「書」の文字であり、「時代の言葉を書き続けること」に主眼を置いているというので驚きです。

1980年代から90年代にかけて日本の「歎異抄」や「源氏物語」、「徒然草」など、日本の古典文学をテーマに描いた作品は圧巻の迫力。繊細さと書の力強さを感じます。

1970年代の作品「エロイ・エロイ・ラマサバクタニ」(1972年)は、磔にされたイエス・キリストが最期に発した言葉を記した書です。近くで見ると十字架の「架」や、「eli eli lema sabachthani(わが神、わが神、なぜ私を見捨てたのですか)」の文字が。あえて紙を灰色に染めてその上に文字を書いているのも彼ならではのこだわりです。

「この時代にこの言葉を書きたい」という想いを込めてその時々に表現したいことをテキストで表す作風が特徴で、最新作は現在の世界情勢を表すウクライナ戦争などの「紛争」をテーマに描いています。書と現代アートの融合を感じる、唯一無二の展示でした。







