ENRICH(エンリッチ)

The Style Concierge

三島喜美代 
今、世界が熱視線を送る作家

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83歳にして現役の現代美術家であり、1950年代から活動を続ける三島喜美代氏。キャリア60年を超える大ベテランだが、近年急速に国内外でその評価が高まっている。氾濫する情報やゴミを陶器で再現する作品は多くの人々の関心を集め、今年の春に開催されたアートバーゼル香港では、4000人のアーティストの中から「記憶に残った作家ベスト20」として選出された。今回は、氏の大規模な作品が常設展示されているアートファクトリー城南島にて貴重なインタビューを敢行した。

*2016年に好評いただいた回のアンコール掲載です

割れる陶器で
不安や危機感を表したかった

ENRICH(以下E):「ゴミを陶器で表現する」三島さんのスタイルはどうやって生まれたのですか?

三島:60年代当時は「情報、情報」っていろんな場所でいわれてましてね。新聞とかの情報物が世に溢れていて、そんな状況を反映していたのかな。当時はお金もなかったので大売り出しのビラ、新聞、マガジンを素材として情報に埋没する不安や危機感を表現したかったのです。でもコラージュの作品はものたりなくて何かないかと考えていたとき、丸めて捨てられた新聞を見て、これなら立体で存在感があるなと。陶器には脆さ、不安感、危機感がある。そこで素人なりに陶の新聞を試行錯誤して作りました。新聞の様に薄くのばすのにうどんの実演を観て思いついたり。

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E:見よう見まねではじめたんですね。

三島:実際にやってみたら簡単にできたから、たくさん作って本当にゴミだらけになって。私の作品は美術館に展示すると清掃員がゴミだと思って割ってしまうの。それが面白いなと。人から「なんやねんこれ?」と思われるようなことがやりたいんですわ。最初は情報をテーマにしていたけど、新聞や雑誌は読んだらすぐにゴミになってしまうでしょ。そしたら、今度は情報からゴミ問題がクローズアップされる時代になってきて。

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陶器に新聞を転写した作品。

E:時代や社会の変遷によって作品も変わってくるわけですね。

三島:時代に沿ったもの、現代を感じさせるものを作りたいんです。毎日のように見てるけど、誰も気にしてないようなもの。古新聞やダンボール、空き缶もみんな見てるけど気にしたことないでしょ? これらの新聞は私が海外に行ったときに持ち帰ってきた新聞で、いわば私の記録なの。

E:三島さんは陶器をベースにした作品をメインに作っていますが、陶芸家とも違うんですよね。

三島:陶芸家とは技術ありきでいかに美しく表現できるか。でも私達は考えやテーマが先にあって、いかに表現するかにあります。技術は二の次です。

エンリッチ編集部

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