ENRICH(エンリッチ)

The Style Concierge

アートオークションの世界を知る

数十万円の作品が40年後に5億円で落札

E:そう考えるとアートは作品のクオリティだけでなく、政治的な要素やその他の付随要素込みで価値なんですね。では、値が上がったアートを売りたい場合、資産として運用するなら売るときのスピード感って大切だと思うんです。株みたいに売りどきにすぐ売れるものなのでしょうか?

加賀美:私たちの場合、4月に開催されるオークションは2月が出品〆切です。そこから、落札されて入金されて手元に入るまでに最低3ヶ月はかかりますから、即金というわけにはいきません。オークションは世界中で毎週のようにありますから、海外を利用するのも手ですね。ただし、海外は送料の負担が大きいし、手続きに時間がかかるケースも多いので、入金までに3ヶ月以上かかってしまう場合もありますが。

また、当社オークションの落札率は70~90%程度です。時にはオークションに出品しても落札されずに戻ってくる場合もありますので、売りたい時に希望の価格で必ず売れるとは限りません。ご出品の際はスタッフにご相談いただき、市場に見合った価格設定や出品する時期などご相談いただくのがよいと思います。当社もですが、オークションハウスでは、オークションに加えて作品の買い取りや委託販売に対応できる会社もありますので、あわせてご相談されることをお勧めします。

佐藤:アート作品に関しては、頻繁に取引される作品より、希少性の高い作品の方が価値が高くなる傾向にあります。そういう意味では中長期の投資と考えていただいた方がよいと思います。株に比べて作家が育つには時間がかかりますからね。作家が若いときに購入して成長を楽しむのがオススメです。作家が徐々に大きい美術館で展示会をやるようになると、成長を見守っていく楽しさが生まれます。

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加賀美:若手作家であれば、最低10年は見ていただきたいですね。評価の定まったブルーチップは買ってすぐに売れるけど、同じ作品が短期間にオークションに出されるのも作品にとっていいことではありません。

E:確かに。転売目的と思われてしまいますね。

加賀美:14年にパリで約5億円で落札された白髪一雄作品があるんですが、70年の大阪万博で展示された作品なんですね。当時、数十万円だった作品が四十数年後に5億円という価格になっています。

佐藤:ちょっと夢がありますよね。

アートで資産運用するなら専任のアドバイザーを

E:コレクターの皆さんはどのようにアートの情報収集をしているんでしょうか? 数百万単位のアートを自分の好みだけで買うのもリスクが大きそうですし。

加賀美:専門のアドバイザーをつけている方が多いです。日本ではまだ少ないですが。大コレクターと呼ばれる方は購入する際にアドバイザーをつけていますね。

E:日本では資産運用のポートフォリオにアートを組み込んでいる人は少ないですよね。今後、アートコンサル的な職業は増えていくのでしょうか?

佐藤:資産運用をしている人がアートを組み入れたいという提案をするなら、アートコンサルも増えるかもしれません。現状、資産運用のコンサルをしている人でアートも取り扱える人は少ないでしょうね。

加賀美:億単位でアートを購入するならアドバイザーをつけた方がいいでしょう。自分の好きな作品を買うだけだと資産形成は難しいですから。

エンリッチ編集部

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