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加谷珪一|連載 
インフレ時代における資産の守り方

日本はこれまで20年にわたってデフレが続いてきたが、とうとう、その時代が終わりつつある。アベノミクスの成果については様々な見解があるが、少なくとも物価が継続的に下がり続けるデフレのフェーズは脱した可能性が高い。

インフレ時代における資産の守り方

多くの日本人はインフレの怖さを知らない

日本人の多くはデフレの世界にすっかり慣れ切ってしまっており、インフレの怖さを忘れている。確かにデフレの時代は不景気とセットになっているので、給料も上がらず、生活が楽にならないイメージがある。だが本格的にインフレが始まった場合の生活の苦しさはデフレの比ではない。

インフレ時代には資産防衛についても根本的に考え方を変える必要がある。何もしないでいると、自身の資産を大きく減らしてしまうことにもなりかねないからだ。もう少し具体的に説明しよう。

現在、日銀では2%の物価目標を掲げている。まだ2%には達していないが、いずれ2%の物価上昇は現実のものになる可能性が高い。毎年2%の物価上昇ということは、100万円のモノは来年には102万円になっているということを意味している。

来年が102万円なので、再来年は104万円と思ってはダメである。再来年は2%の2%、つまり複利になるので、実際には104万400円になっている。インフレの時代には、これが毎年も継続するのである。もし2%の物価上昇が30年続いた場合、現在100万円のモノは、何と約1.8倍の180万円になっている計算だ。

このような時代に銀行にただお金を預けていたらどうなるだろうか?もちろん利子が付くのである程度はお金は増えているかもしれないが、30年後に買える水準は実質的に現在の半分近くに減ってしまう。インフレ時代には、お金はただ持っているだけでは増えないどころか減っていくのである。物価上昇を上回る投資を継続しない限りは、インフレに負けてしまうのだ。

ではインフレの時代には、どのようにして資産を守ればよいのだろうか?
基本的には物価上昇に合わせて価格が上昇するものに投資することが重要となる。具体的には、株式、不動産、金、外貨などである。

加谷珪一

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