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中東の覇権争いに巻き込まれるドバイ

サウジとのし烈な争い

ただ、今回ホテルのスタッフやUberドライバーなどと話していて感じたのは、ドバイの観光に携わる人の多くがサウジアラビアをライバルとして意識し始めていることです。これは5年前には全く感じなかったポイントです。

サウジアラビアはアラビア半島で最大の経済規模を誇る国でしたが、メッカとメディナという2大聖都をかかえる保守的なイスラム国家として知られて、イスラム教徒以外の外国人観光客の受け入れにはあまり積極的ではありませんでした。しかし、それが現在のサルマン皇太子が実権を握るようになると、経済改革のプランである「ビジョン2030」を打ち出して、観光は重要な産業として位置づけられました。

このビジョンと連動してサウジアラビアでは総工費5,000億ドル(約75兆円)といわれる新都市NEOMの建設が進められています。NEOMは高さ500mで幅200mの高層建造物が長さ170kmにわたって続く世界初の線状都市である“The Line”や世界最大の浮体構造物からなる”Oxagon”に、中東で初めてのスキーリゾートとなる”Trojena”など1つ1つが人類が経験したことのない巨大プロジェクトから構成されています。

特に、最も早く建設が進行している”Sindalah”は、紅海上の島に超高級ホテルはもちろん、18ホールのゴルフコースに世界最大級のヨットでも停泊できるマリーナなどが整備されて、まさにドバイ的なリゾート開発で、今年から観光客の受け入れを始める予定です。また、紅海についてはサウジアラビア政府は複数の巨大なマリンリゾート開発の計画を打ち出しています。

他にも最終的には60万人が暮らす予定の世界で、初めてドラゴンボールをモチーフとしたテーマパークが作られることになったエンタメがメインテーマの都市”Qiddiya”も注目を集めています。

岡村聡

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