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あの世にお金を持っていく

フローでは年収2000万円がひとつの境目

では、お金というものが持つ意味について、具体的にいくらから変化するものだろうか。もちろん、この感覚は人によって違うだろうが、筆者は5000万円くらいがひとつの境目になると考えている。

先ほど、運用の利回りを3%としたが、500万円の3%は150万円である。もちろん150万円では生活できないが、十分な年収がある人にとって、自由に使えるお小遣いが毎年150万円入ってくるとなれば、感覚は大きく変わるだろう。

150万円あれば、クルマも買うことができるし、ビジネスクラスの航空券もまったく気にせず購入できる。ローンを組んで不動産を購入した場合でも、毎年150万円の返済は確約される。同じお小遣いといっても、数十万円と150万円ではだいぶ意味が違ってくる。

さらに資産が増えて1億円になると、不労所得は300万円になるので、これだけで生活できる可能性が見えてくる。もちろん、この金額で生活する資産家はいないだろうが、とりあえず生きていける最低限の金額をお小遣いで稼げるという精神的余裕は計り知れない。

1億円の資産を保有している人のことを、世間では「億り人」などと呼ぶことがあるが、1億円というのはキリがよいだけでなく、現実的な効用という点でも意味のある数字なのだ。

これはストックベースの話だが、フローベースでは年収2000万円がひとつの大きな境目になるといわれている。年収2000万円以下の場合、1000万円の人と生活にそれほど大きな違いは生じないが、2000万円を超えると生活がガラっと変わってくる。2000万円以上の年収があれば、1億円の資産を形成するにも、それほど長い期間は必要としない。

本コラムの読者は成功者が多いはずなので、年収2000万円以上、資産5000万円以上で、価値観が大きく変わるという話は直感的に理解できるのではないだろうか。

加谷 珪一 (かや けいいち)

経済評論家。東北大学卒業後、投資ファンド運用会社などで企業評価や投資業務に従事。その後、コンサルティング会社を設立し代表に就任。マネーや経済に関するコラムなどの執筆を行う一方で、億単位の資産を運用する個人投資家の顔も持つ。著書「お金持ちの教科書」(阪急コミュニケーションズ)ほか多数。

連載コラム

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加谷珪一 著
 
「日本は小国になるが、それは絶望ではない」
KADOKAWA
単行本 1,430円
 
国際競争力の低下と少子高齢化が進む日本の未来とは?

将来の日本は小国になると予想し、小国になることは日本再生のチャンスであると唱える気鋭の経済評論家が、戦後最大の転換期を迎えた日本の新しい国家像を紐解く一冊。


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