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他人の失敗に寛容な理由

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「金持ちケンカせず」という言葉からも分かるように、お金持ちの人は他人の失敗に対して怒らないといわれる。だがそれは、お金持ちの人が「いい人」だからではない。そこにはお金持ちならではの理由というものが存在している。

お金持ちにとって時間以上の資産はない

そもそも金持ちケンカせずという話は事実ではなく、筆者は激しく怒っている富裕層を何人も見たことがある。お金持ちの人は、こだわりを持っていることも多く、その部分で逆鱗に触れてしまうと、普通の人よりも激しく怒り出すこともしばしばである。

一方で、お金持ちの人は驚くほど淡泊だったりすることもある。こうした面だけを見れば、お金持ちは怒らないという話は真実といってよいだろう。

ではお金持ちが淡泊なのはどのような時だろうか。それは相手に対してまったく期待していない時である。

人は失敗から学べる存在ではあるが、現実問題として、どうやっても改善が期待できない人間というのも一定数、存在している。受けた仕事に対して誠実に対応しない人や、相手に対して理不尽なことばかり要求する人というのは、それを注意しても改善しないことがほとんどである。

それどころか、指摘すれば逆ギレする可能性すらあるというのが現実である。

お金持ちにとって自分の時給は無限大に高い。こうした相手と関わっていることは、壮大な時間の無駄使いであり、ひいては経済的な損失に直結してしまう。相手とトラブルになれば、その時間の分だけ金銭的に損するのはもちろんこと、精神面でも疲弊してしまう。そういう相手はたいていの場合、お金持ちではないので、相手と比較した場合、どう考えても自分が失うものが多すぎる。

このため、改善が見込めなかったり、逆ギレする可能性が見えた相手とは、それ以上、関わらないということが、お金持ちにとっては利益を最大化する行為なのである。

お金持ちにとってみれば、依頼した仕事をきちんとこなせない人や、逆ギレしてトラブルになる人は、時間という形で自身のお金を奪っていく人であり、悪気の有無に関係なく、付き合うだけで損失をもたらす面倒な存在でしかない。このためムダと悟った相手に対しては怒らずに優しく接し、あとは距離を置くという結果にならざるを得ないのだ。

加谷珪一

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