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なぜビジネスクラスに乗るのか?

ビジネスクラスの代金が払えるリターンがない場合
グローバル案件としては低収益

機動力という意味では予約の取りやすさもメリットのひとつになる。

先ほども述べたように、ある程度、お金を持っている人にとってもビジネスクラスの料金は高いと感じる。だがそうであるがゆえに、ビジネスクラスの席は、日程が近くてもまだ残っていることが多い。乗り継ぎなどで複雑な旅程を組む場合でも、ビジネスクラス前提であれば、ギリギリのタイミングでもチケットが押えられる可能性が高まる。

一定以上の資産を持つ人にとって、時間ほど貴重なものはない。1日早く海外出張から戻れることは極めて大きな金銭的価値をもたらす。

こうしたメリットを総合的に考えると、ビジネスクラスのチケットにこれだけの価格設定がされていることには、一定の合理性があると考えるべきだろう。

逆に考えれば、海外にビジネスで渡航する場合には、ビジネスクラスでの移動料金を払ったとしても、十分に採算が取れると思えるものでなければ意味がないということになる。

世の中では、いとも簡単にグローバル化というキーワードが叫ばれているが、現実のビジネスでグローバルなオペレーションを実施するには相応のコストがかかる。これに見合うだけの十分な期待リターンがないのであれば、安易にグローバルオペレーションはするべきではない。

そうであるならば、ビジネスクラスの移動も必要経費として許容されるはずである。こうした期待リターンがある場合にのみ海外に行くというのが正しい認識である。

加谷 珪一 (かや けいいち)

経済評論家。東北大学卒業後、投資ファンド運用会社などで企業評価や投資業務に従事。その後、コンサルティング会社を設立し代表に就任。マネーや経済に関するコラムなどの執筆を行う一方で、億単位の資産を運用する個人投資家の顔も持つ。著書「お金持ちの教科書」(阪急コミュニケーションズ)ほか多数。

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