ENRICH(エンリッチ)

The Style Concierge

フラットに物事を考える

どのタイミングでフラットな価値観を身につけるか?

お金持ちの人は、考え方がフラットであると同時に合理的だ。

顧客に対して誠意を尽くすのは、そうした方が顧客満足度を最大化でき、自身の利益も最大化できるからであって、顧客に尽くすことが絶対だからではない。自身にとって割が合わないという思える注文は受けないし、過度な値引き要求にも応じることはない。

パートナーへの支払いは、必要とする製品やサービスを提供してくれたことに対する対価であり、それ以上でもそれ以下でもない。また要求される水準に満たないパートナーとは付き合いをやめる。

こうした話には「そうはいっても現実というものがある」という反論も出てくるだろう。

だが、あえて厳しく言えば、顧客を選ぶことができない状態になっているのは、ビジネスモデルそのものとして問題がある。そうならないモデルを構築することが経営者の仕事であり、成功できている人は最初からそれを実現できている。

その意味でスタート地点というものは非常に重要な役割を占めている。

最初からフラットな意識を持ち、それを前提にビジネスをスタートする人と、そうでない人との間には、時間が経過するにつれて大きな差が開いてくる。付加価値を強く意識した人のビジネスは、同じような業務内容に見えても、随所に違いが生じているはずだ。

生活用品大手のアイリスオーヤマ創業者の大山健太郎氏が、この事実に気付いたのは20代の時である。オイルショックによる大不況であるにもかかわらず、ある同業者の業績は好調で、社員は皆、定時退社をしていたそうである。この光景にショックを受けた大山氏は、その後、儲からない仕事はやらないと強く意識するようになった。

他社と差別化し、付加価値の高い事業にシフトするのは並大抵の事ではなかっただろうが、それを支えたのが、物事に対するフラットな見立てであったことは間違いない。

加谷 珪一 (かや けいいち)

経済評論家。東北大学卒業後、投資ファンド運用会社などで企業評価や投資業務に従事。その後、コンサルティング会社を設立し代表に就任。マネーや経済に関するコラムなどの執筆を行う一方で、億単位の資産を運用する個人投資家の顔も持つ。著書「お金持ちの教科書」(阪急コミュニケーションズ)ほか多数。

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加谷珪一

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