ENRICH(エンリッチ)

The Style Concierge

「エンタメ」をヒントに自己研鑽

社会のトレンドや熱気を
フィードバックしていまに活かす

昭和の頃に流行った、スポコンドラマも私は好きです。いまの人からすると「古臭い」と感じるでしょうが、当時の常識、トレンド、社会の熱気を振り返るのに最適です。

例えば、いまでは教育やビジネスの場面で体罰、行き過ぎた指導は「パワハラ」と断罪されるのが当たり前のこと。ところが、それこそ20年~30年前だと日常に横行していました。また、いまや「飲みにケーション」は死語かもしれませんが、かつては仕事が終わると上司と部下が連れ立って居酒屋へというのも、サラリーマンにとってのたしなみでした。社会を取り巻くモラルやマナー、トレンドもいまと昔では異なります。

そういった過去の情報をタイムカプセルのように現代に持ってくることが、ドラマなどでは可能です。いまでは「ない」ことだからこそ、今後のヒントになることが見つかるかもしれません。「イノベーションは先端技術から生まれる」「新しいものにこそ価値がある」と人は受け止めがちですが、未来に活かせるエッセンスを過去の作品から見つけることはできるはずです。

思わぬことから情報をキャッチアップするには、柔軟なメンタルであることも大切です。普段から思考が硬直していたり緊張感に包まれていると、インプットの部分は阻害されてしまいます。反対にリラックスしすぎていてもダメで、役立つ情報を見逃してしまう可能性があるようです。スポーツの世界も同様で、緊張が強すぎても、リラックスが強すぎても高いパフォーマンスを発揮することはできず、緊張とリラックスが半々の心理状態がベストとされています。

スポーツに限らず、人が何かをするときは、この心理状態がベストです。そうなるためには、自分が緊張とリラックスとの間のどこに位置しているかをイメージし、両者のバランスを取っていくのがポイント。仮に緊張していると感じたら、頭に中に「緊張している自分」と「リラックスしている自分」をイメージし、両者に会話をさせるのです。「緊張の理由」「リラックスすべき理由」などをキャッチボールしていけば妥協点が見つかり、バランスの良い状態に落ち着いていきます。

*この記事は2019年11月に掲載されたものです

高畑好秀

高畑 好秀 (たかはた・よしひで)

メンタルトレーナー。1968年、広島県生まれ。早稲田大学人間科学部スポーツ科学科スポーツ心理学専攻卒。日本心理学会認定心理士資格を取得。同大学運動心理学研修生終了後、数多くのプロ野球、Jリーグ、Vリーグ、プロゴルファーなどのプロスポーツ選手やオリンピック選手などのメンタルトレーニングの指導を行なう。著書に『一流だけが知っている自分の限界を超える方法』(中経出版)など。スポーツ、ビジネスのメンタルに関する著書は70冊を超える。

連載コラム

高畑好秀氏著書
高畑好秀 著
 
一流だけが知っている自分の限界を超える方法
KADOKAWA/中経出版 1,404円

 
名だたるトップアスリートが指名するメンタルトレーナーである著者が、彼らと真剣に向き合う中で見出した「人間は本来負けたがっている」というオリジナルのスポーツ心理学をベースに、「勝ち」への執着を捨て、限界突破のための「負け」を知る究極の方法を説く。
 
高畑好秀 公式サイト: www.takahata-mental.com

高畑好秀

Return Top