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年収が高い人ほど労働時間が短い?

加谷珪一|年収が高い人ほど労働時間が短い?

日本の職場は長時間労働が多いといわれている。日本のホワイトカラーの生産性は国際的に見て低い水準にあるというのはよく知られた事実だが、その要因のひとつが長時間労働であることはほぼ間違いないだろう。

だが同じ長時間労働といっても、状況は様々である。ダラダラと長い時間仕事をして生産性を下げているというパターンも多いのだろうが、高い報酬と引き換えに、すべてを仕事に捧げているという人もいるはずだ。

年収が高い人はあまり長時間労働していない

一般に年収が高い人ほど、仕事中毒になっているイメージがあるが、実際はどうだろうか。社会生活基本調査によれば、年収と労働時間は必ずしも比例する関係にはなっていない。

週休2日と仮定した場合の1日あたりの労働時間を見てみると、年収250万円の人は約10時間となっている。一方年収が400万円台の人は10.7時間働いている。このあたりまでは、年収が増えれば、1日の労働時間も増えているようだ。だが年収がさらに上がってくると、労働時間は逆に減ってくる。

年収700万円台では10.2時間に、900万円台では10時間となり、1500万円以上では9.5時間まで減少する。年収が高い人は、管理業務的な仕事をしている可能性が高く、労働時間が直接成果に関係していない可能性が高い。工夫次第で労働時間を短くできる環境にあると考えられる。

日本の会社は多くが年功序列なので、年収400万円台のビジネスマンは、比較的年齢が若く、かといって新人でもないという世代である。会社の中で中核的な存在になっている可能性が高く、労働時間も必然的に長くなっていると考えられる。

これに対して、年収が高いビジネスマンは、主に中高年であると考えられる。管理業務で時間が自由になるという面もあるかもしれないが、この中の一部は、いわゆる「働かないオジサン」になっているのかもしれない。

一方、企業経営者や専門職に従事している人は、自身の労働時間についてかなりの裁量があるだろう。こうした人の中には、短時間で仕事を済ませている人が多くいるはずであり、彼等の存在が、統計上の労働時間引き下げにつながっている可能性もある。

加谷珪一

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