ENRICH(エンリッチ)

The Style Concierge

ハケット ロンドンに聞いた、英国流お洒落の真髄


Q

「英国流の着こなしの特徴は何ですか?」


A

「ジャケットを中心としたテーラード文化です」

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英国スタイルの特徴、スラントポケット。サイドポケットが斜めにカットされている。これは乗馬服の名残りだとされる。

——英国というと、いわゆるブリティッシュ・ジェントルマンの装いが思い出されますが?

「基本的には、ジャケットを中心としたテーラード文化です。クラスによって違いますが、いわゆる日本人が思い描くような、チョークストライプのスリーピースに派手なロンドンストライプ・タイ、ペイズリーのネクタイといった格好は、私を含めた年配の方など少数派ですね。30代のエグゼクティブはネイビーのジャケットに白かスカイブルーのシャツ、ノータイで下半身はデニムに黒靴などの着こなしが多いように思います。ベネディクト・カンバーバッチのドラマ『シャーロック』に出てくる人たちのイメージでしょうか?」

——なるほど、結構くだけた格好の人が多いのですね。

「日本だと、もう少しクラシックな装いが好まれますね。ディテールに英国の匂いが色濃く漂っているようなモデルです。例えば、小さくかっちりと作り込まれた肩、2つボタンで絞り込まれたウエスト、深めのVゾーン、スラントポケットなどが典型的な英国の意匠です。全体的にきちんとして見えるところが最大の魅力でしょう。ハケット ロンドンは、その中に優しさや品位など、ややソフトな要素を盛り込んでいます」


Q

「ハケット ロンドンのブランドとしての特徴は?」


A

「“着込むための服”を提唱しているところです」

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ハケット ロンドンならではの意匠。ターンナップ・カフ(折り返された袖)と2つずつ付けられた袖ボタン。

——ブランドとしてのハケットには、どんな特徴がありますか?

「ジェレミー・ハケット氏の言葉に“Your clothes should wear in,not out.”というものがあります。日本語に訳すと“服は着古すものではなく、着込むものだ”という意味です。服は着る人とともに、シワと思い出が増えていくような存在だということです。ハケットの服は大切に扱えば、トレンドに左右されることなく、10年経っても着られると思います。実は私も、1980〜90年代に作られたハケットの服を、今でも着ています」

——昨今はイタリアの服が多いですが・・

「イタリアものとも相性がいいですよ。今で言えば、ナチュラルショルダーのコンパクトな作りの“ベルグラヴィア・ライン”と呼ばれるジャケットなどは、今風のコーディネイトに取り入れるのにぴったりです。また、特に春夏シーズンにおいては、イタリア生地も上手く取り入れています」

——ディテールにも、独特の遊びがあると聞きましたが?

「2つずつ分けて付けられた袖ボタンやターンナップ・カフなどは、ハケットロンドンならではのものです。それからラペルにフラワーホールが必ず開いていて、ラペル裏には茎を留めるための糸もちゃんとついているのも特徴です」

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ハケット ロンドンでは、スーツ、ジャケットの他、シャツもオーダーすることができる。納期に優位性のあるパターン・オーダーメイド・スーツ日本製15万円〜(納期約1.5ヶ月)、トップラインの英国製36万円〜(納期約3ヶ月)。パターン・オーダーメイド・シャツ日本製2万7000万円〜(納期約1ヶ月)、欧州製3万1000円〜(納期約2ヶ月)

——オーダーメイドにも力を入れていらっしゃいますね。

「現在では、売上の3割弱が、ハケット ロンドンのハウススタイルをベースにしたパターン・オーダーメイドです。まずは既成品から試される方が多いですが、われわれは既成品でも必ず細かくお直しを提案します。ハケット ロンドン 銀座のフィッティング技術は評価が高く、そういったサービスには自信があります。いわば既成品でも、オーダー並みの体験ができるショップなのです。それから本格的なオーダーメイドに移られるお客様が多いですね。リピート率がとても高いのが、われわれの自慢です」

——なるほど、それはすごい。その理由は何でしょうか?

「われわれの銀座店は数寄屋橋交差点という一等地の旗艦店ですが、マンツーマンのきめ細やかな接客を心がけています。アポイントメントを入れてからいらっしゃるお客様が多く、販売員を気に入り、買い続けて下さる方が大半です。ネット通販全盛の世の中ですが、逆にコミュニケーション豊かなサービスを求められている方も増えているのです」

松尾健太郎

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