ENRICH(エンリッチ)

The Style Concierge

レアコインの世界 3/4

内藤 いままでレアコインを知らなかった人が参加することでマーケットは広がりますが、始める時は必ず買いから入るので、市場全体を見ればおのずと買いたい人の方が売りたい人より多くなるのは当然のこと。なら、売り玉はどうかというと、発行枚数は決まっていて、所有者が増えるほど所蔵したい人もいますから、出回る数は減っていくだけ。ならば、価値が高くなっていくのもわかります。

西村 枚数があまりにも多いコインだと値下がりする可能性もありますが、レアコインにはそもそも価格を下げる概念がないのです。所有者からすると、価値を下げてまで売る必要はありません。

内藤 美術品に近い考えですね。ゴーギャンの絵を買った人が90億円で売るはずがありませんから。宝物なので、値上がりしても絶対に売らない人もいるでしょう。高額なレアコインを持つ人は、全財産をはたいて1枚のコインを買うわけではなく、ごく一部の余裕資金で手に入れるケースがほとんど。コインを嫌いにならない限り、安く売る必然性はないということです。

西村 だからこそ、市場に出回るレアコインは、どんどん価値が上昇します。

さらに面白いことに、5年前に100万円だったコインは現在の価値はそれほど変わりませんが、5年前に1000万円だったコインだと2500万円近くまで高騰しています。つまり、安いモノには安い理由があり、一方で、高いモノには高い理由があるということ。もとから希少性が高いと人気はうなぎ上りになる可能性が高いのです。「減ることはあっても増えることはない」という需要と供給の関係性から、このようになるのだと思います。ただし、100万円だったモノが2倍になることもあれば、1000万円のモノが変わらないというケースも。そういった点では、夢だってあるのかもしれません。

ーーーその付加価値によって、数年で価格が数倍になることも珍しくない。だからこそ、資産運用にも役立つということだ。次回、4月の最後も引き続き、レアコインの魅力をひも解こう。


西村直樹(にしむら・なおき)

株式会社ユニバーサルコインズ代表取締役社長
1978年生まれ。芝浦工業大学建築学部卒業後、スポーツ用品会社ゼビオ株式会社入社。
2年目で約100億円の予算を預かるバイヤーに抜擢。約10年間マーケティング業務に従事し、海外統括部門にてグローバルビジネスにも携わる。2014年に株式会社ユニバーサルコインズを起業。アンティークコインの深遠な魅力を広め、さらに、アンティークコインによる資産形成をサポートすべく奮闘中。

内藤 忍 (ないとう しのぶ)

株式会社資産デザイン研究所代表取締役社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、金融機関勤務を経て1999年にマネックス証券の創業に参画。同社は、東証一部上場企業となる。その後、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役などを経て、現職。著作は40冊以上。2015年には銀座に「SHINOBY`S BAR 銀座」をオープン。無料のメールマガジン「資産デザイン研究所メール」は購読者が約47,000人という人気

連載コラム

内藤忍

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