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英国学生マンション投資 2/4

ひとつ言えるのは、イギリス人投資家は先行き不透明感からロンドンの不動産を手放している傾向がありますが、一方で、これだけポンドが下がっていることから、中国や中東の富裕層マネーが不動産マーケットに入ってきていてくるので、それがヘッジになり、価格の下落を抑えられるどころか価格上昇すらしているようです。そもそも、ロンドンの不動産の6割は外国人が所有していると言われていてて、外国人のインセンティブが高くなるほど市場は活況になる傾向がありります。ですから、意外なほど物件価格は下がっていません。

内藤 しかしながら、中心地のマンションや郊外の戸建ては価格が高く、利回りが出ないという状況では、リターンが得られません。彼らは、何に投資しているのでしょうか。

吉岡 もちろん、長期保有、資産分散の意味でそういった物件を買う超富裕層はいるのですが、ここ2~3年で新たに注目されているのは、学生用のマンション投資です。

内藤 日本でいうところの民間の学生寮のようなものでしょうか。確かに、今後ブレグジッドの影響で金融街から人が逃げることと直接関係はないでしょうし、日本に例えると大手町からビジネスパーソンが減ったとしても、学生、とりわけ郊外で学ぶ大学生には、それほど影響はなさそうです。イギリスでは、そういったジャンルの不動産投資が以前からあったのでしょうか。

吉岡 ありましたが、以前は1棟を大口の法人投資家、機関投資家が購入して賃貸で回すという形でした。あるいは、5ベッドなどの戸建てを個人投資家が買い、シェアハウスとして部屋ごとに貸すというスタイル。ところが、2012年~2013年ころから、学生用マンションの区分を販売するという、新たなスタイル手法が増え始めたのです。これなら、1棟よりは価格も安く、手が出ないというレベルではありません。

ーーー学生用マンション投資という、あまり聞き慣れないジャンルの不動産投資。なぜ“学生”なのか? その根拠を次回は探っていこう。


吉岡憲史(よしおか・けんじ))

ステイジアキャピタルジャパン株式会社取締役
青山学院大学卒業、英国ラフバラ大学大学院修了。
株式会社新潟総合テレビ、株式会社クリード、クリード不動産投資顧問株式会社(出向)、APN株式会社取締役、APH株式会社代表取締役などを経て、2013年より現職。賃貸情報サイト「家賃5万以下ドットコム」の発案者。

内藤 忍 (ないとう しのぶ)

株式会社資産デザイン研究所代表取締役社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、金融機関勤務を経て1999年にマネックス証券の創業に参画。同社は、東証一部上場企業となる。その後、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役などを経て、現職。著作は40冊以上。2015年には銀座に「SHINOBY`S BAR 銀座」をオープン。無料のメールマガジン「資産デザイン研究所メール」は購読者が約47,000人という人気

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エンリッチ編集部

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