ENRICH(エンリッチ)

The Style Concierge

アートと経営の共通項とは?

アートの歴史を紡ぐ
プレイヤーとしてのコレクター

さらに深入りすれば、「まだ広くは認識されていないけれど、このAという作家とBという作家の作品は実は親和性が高く、同じ文脈で語れるんじゃないか?」など、私のコレクションをきっかけに、パズルの穴埋めをする感覚でアートの歴史をあらたに生み出していくことも可能です。つまり、個人のコレクションが美術館のような役割を果たすことになるんです。

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左:吉岡寛晃氏。右:大久保沙也氏

美術館とは「アートの歴史を紡ぐ作業」をしている場所です。作品が美術館に収容されるということは、その作品がアートの歴史として後世に語り継がれるということです。そういう意味ではコレクターも1人のプレイヤーとして、歴史に作品を残す一翼を担う当事者と言えるのです。事実、海外の有名コレクターに作品がコレクションされたことで、一気に有名になり、その後の作品も世界中のコレクターや美術館に収蔵されたアーティストが何人もいます。プレイヤーとしての自覚が生まれると、自ずとコレクションの傾向も一点に集中していくはずです。

単に作品を収集し鑑賞する受動的なコレクターではなく、能動的な1人のプレイヤーとして、自分の好きな作家や作品と共に作品の価値を高め後世に残していく。自分のコレクションに明確な意味を持たせることで、よりコレクションの幅が広がり、人脈も広がり、そしてコレクションすることの楽しみが増すでしょう。この楽しみ方は本当に多くの人に知って欲しいと思います。

小松隼也 (こまつ じゅんや)

長島大野常松法律事務所に所属し、企業法務や訴訟を中心に幅広い分野を専門として取り扱う弁護士。また、アート、ファッション、デザイン、ミュージックといった芸術文化産業に関する造詣を活かし、法律相談、契約交渉、訴訟を数多く手掛ける。

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小松隼也

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