ENRICH(エンリッチ)

The Style Concierge

Vol.1 アートの歴史を理解する 2/3

ルイ14世のもと王立アカデミーが創立

ヨーロッパへの入口となっていたイタリアではシルクロードから渡る香辛料などに高い関税を掛けてヨーロッパへ輸出していたため、自国の力で道を切り開こうと動き出したのが15世紀に幕を開けた大航海時代。スペイン、ポルトガル、さらにはオランダ、フランス、フランドル(ベルギー)、イギリスがアフリカ、アジア、アメリカ大陸に植民地を広げ、貿易を世界規模に拡大させていきました。なかでも力をつけたフランスはイタリアに戦争を仕掛けるとともに、フランス王国フランソワ1世は、イタリアの芸術家を呼びよせ、フランス美術の礎となるフォンテーヌブロー宮殿の建設に着手。その際はレオナルド・ダヴィンチも特別の待遇で招かれ、彼は生涯をその地で暮らすことになります。かの有名な「モナ・リザ」がフランスの地に残されたのはこのことが理由です。

mitsui1_2_2

1667年に14歳で即位したルイ14世は在位期間が72年と最長で、王朝の最盛期を迎えた太陽王と呼ばれた人物です。ローマで活躍していたフランス人画家のニコラ・プッサンとシャルル・ル・ブランを呼び寄せ、1648年にはフランス王立アカデミーを設立し、その後、フランスバロックを象徴する建物が、ルイ14世のもと建てられていきます。王朝が力を持つことで、芸術は権威になっていくのです。

18世紀になると芸術の中心はフランスへ。約100年間は他国から侵略されることはなく、1789年にフランス革命が起きるまでは君主や貴族階級の平和な時代が続きました。優雅で独創的な芸術も生まれ、それが「ロココ」です。由来は「小石」を意味する「ロカイユ」で、この「小石」は、イタリアのバロック時代、庭園などに造られた洞窟内部の装飾や小石や貝殻を使ってモザイクのように組んだイタリアの装飾様式「グロッタ様式=グロテスク」からきています。

ロココの特徴は貝殻や植物から由来する優美な曲線と女性的な繊細さ。出現により、激しくドラマティックで絢爛豪華な男性的なものがバロック、繊細で軽やかな女性的なものがロココだと両者は明確に理解されるようになりました。

そして、ルイ15世の時代になると、国王の愛人であったポンパドゥール夫人の影響により、社交界でのルールやエチケット、テーブルマナーなど様々な分野でスタイルは洗練されることに。彼女とルイ15世に気に入られたフランソワ・ブーシェは国王筆頭の画家として、王立彫刻アカデミー院長を務めるほど。「マダム・ポンパドゥール」や「水浴のディアナ」は有名な作品です。

エンリッチ編集部

Return Top