ENRICH(エンリッチ)

The Style Concierge

カリブ海クルーズ 2/3 
カリブ海のタックスヘイブンの成り立ち

20兆ドルの富が蓄積しているタックスヘイブン

タックスヘイブンの実態が中々解明されない最大の理由は、タックスヘイブンに詳しい人ほどそこからメリットを享受しているため、積極的に情報発信しないことにあります。そもそも、タックスヘイブンにどれくらいの富が蓄積されているかについても所説あって定かではありません。

信ぴょう性のある数字の1つに、2012年に元マッキンゼーのコンサルタントであったジェームズ・ヘンリー氏の出した20兆ドル(約2,100兆円)というものがあります。日本の全金融資産を超える膨大な金額ですが、ヘンリー氏のレポートによると資産が大きくなればなるほど積極的にタックスヘイブンを利用しているという実態があるようです。

金融資産を100万ドル(約1.1億円)以上所有する富裕層は全世界で約45兆ドル(約4,700兆円)の資産を保有していますが、その内の約45%の約20兆ドル(約2,100兆円)をタックスヘイブンで所有しているとこのレポートは指摘しています。これが、金融資産を3,000万ドル(約32兆円)以上保有する超富裕層になると、約17兆ドル(約1,800兆円)の資産の内60%近い約9.8兆ドル(約1,030兆円)をタックスヘイブンで所有しているようです。

通常、タックスヘイブンで金融資産を所有する場合、ペーパーカンパニーを設立して所有する形態が一般的でオーナーである個人はタックスヘイブンを訪問しませんが、今回訪問した島の中で最もタックスヘイブンとしてメジャーなBVIには大豪邸が立ち並んでいました。

所有者が誰かまでは分かりませんでしたが、現地の人に話を聞くと海外での所得への税率が低い英国の富裕層を中心として、より節税の確度を高めるためにタックスヘイブンに拠点を持って、実際に年の大半を滞在している人もかなりの数居るようです。

岡村聡

Return Top