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ニュージーランド最大規模のエコビレッジであるアタマイビレッジ

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前回、ニュージーランドの南島に位置するネルソンについて紹介しましたが、今回はそのネルソンから車で40分ほどのところにあるニュージーランドでも最大級のエコビレッジ、アタマイビレッジについて紹介します。

投資銀行マンからワイン製造への転身

今回、アタマイビレッジを訪れるきっかけとなったのは、この地で日本人の小山さんという方がワインを製造しているからでした。小山さんは元々ゴールドマンサックスで働く投資銀行マンでしたが、ロンドンに赴任していた時に飲んだニュージーランドワインのおいしさに感動し、ニュージーランドに渡ってワイン製造を大学で学び、2年前に自らのワイナリーを立ち上げました。同じ金融業界からワイン製造という全く違った分野に進んだ小山さんの話は、キャリアパスについて私にとっても色々と示唆がありました。

近年、有機農法で栽培されたワインであるビオワインは世界的に注目されていますが、小山さんが製造するビオワインも高く評価されてきています。ニュージーランドはもちろん、最近では日本や香港などでも人気となってきているようです。今回は、小山さんのワインを地場の食材を用いた日本人シェフによる料理とともに頂きましたが、やはり同じ風土で採れたワインと食材の相性は素晴らしく、とても幸福な時間となりました。

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1平方キロメートルとニュージーランドでも最大級のエコビレッジであるアタマイビレッジですが、小山さんのワイナリーだけでなく、他の農場も有機農法にこだわっています。農場以外にも牧場や原生林など持続可能な環境を意識して、肥料や電力、水などのユーティリティも自給自足する、高度なサステーナビリティを意識した村づくりが進められています。

晴天率が高いアタマイビレッジでは電力は基本的に太陽光パネルにより賄い、さらに水も雨が多い冬の間にタンクにためた水を、雨が少ない夏の間に使っていきます。洗剤なども化学的な添加物がない製品を使い、生活排水や下水もフィルターが完備されたタンクの中で、バイオ的な方法により肥料に分解されます。

エコ意識を高く持った住民が集まって、広大な敷地に農地の整備やワイン製造、牧畜などそれぞれが役割を分担しながら自給自足可能な環境を作り上げてきたアタマイビレッジを見て、21世紀型のコミュニティのあり方の1つを示していると感じました。

岡村聡

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