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堀紘一の『ヒト・モノ・カネ』論 (2)
お金は不幸を軽くしても、幸福を約束しない。

堀紘一流の「生きガネ・死にガネ」

よく「死にガネ・生きガネ」といいますが、私はこれをつねに念頭にお金を使うよう心がけています。

堀紘一の『ヒト・モノ・カネ』論 (2) お金は不幸を軽くしてくれても、幸福を約束しない。

要は、人脈につながる、会話から学ぶことがあるなど、今後に広がりがあることにお金を使うということです。気心のしれた、見込みのある人物には惜しみなくご馳走もしますし、それは先ほどいったように、多くの情報が得られ投資やビジネスにつながるかもしれないからです。それでお金が増えれば、もっと使えますしね。もちろん、有意義な時間を過ごせるというのは、それも人生を豊かにしてくれます。

一方、先に広がらないことにお金を投じるにはナンセンス。まさしく死にガネで、自分を成長させてくれません。

お金があると不幸にはならない。だが、それだけに過ぎない

心得ておくべきは、お金は幸せを約束しないということです。飢えや空腹、暑さや寒さをしのげる生活環境など、お金があれば不幸や不遇になることを避けることはできても、幸せを買うことはできません。それは野球でも、剛腕なピッチャーがいて守備も強力だと点を取られませんが、打線が弱くて得点できないと意味がないのと同じです。引き分けがせいぜいで、それでは、野球選手としてはハッピーではないということです。

当たり前の話ですが、お金は万能ではありませんし、お金で幸せを手にできるという考えは愚かなこと。ですが、豊かな生活を送るための手助けはしてくれます。そういったスタンスで向き合えば、お金に惑わされたり、過度な万能感を求めずにすむはずです。

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堀紘一(ほり・こういち)
1945年兵庫県生まれ。1966年にメリーランド州立大学に留学。69年に東京大学法学部卒業後、読売新聞社に入社して経済部記者として活躍する。73年三菱商事に入社。ハーバード大学に留学して80年経営学修士(MBA with High Distinction)を取得する。81年からボストンコンサルティンググループ(BCG)に19年にわたり勤務し、89年には代表取締役社長に就任。00年にBCGを退社し、ベンチャー企業の支援及び大企業の戦略策定・実行支援を行う、ドリームインキュベ―タ(DI)を創業。代表取締役社長に就任し、02年5月にマザーズ上場、05年9月には東証1部に上場。現在は同社代表取締役会長。経営コンサルティング業界の草分けであり、財界に広く人脈を持つことでも知られ、ビジネスマン向けの著書も多数。
株式会社ドリームインキュベータ(http://www.dreamincubator.co.jp/


エンリッチ編集部

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