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堀紘一の『ヒト・モノ・カネ』論 (3)
お金は不幸を軽くしても、幸福を約束しない。

エンリッチ 堀紘一

堀紘一氏といえば、19年にわたりボストンコンサルティンググループに勤務し、日本法人の社長も務めた稀代の経営コンサルタント。2000年からはベンチャー育成を目的にドリームインキュベータを創業し、わずか5年で東証1部上場企業に育て上げた起業家としても、あまりにも有名だ。

前回は「お金は不幸を防いでも幸せを保証しない」と語った堀だが、第3回では、「本当の幸福とは?」というテーマについて本音を打ち明ける。

人を幸せにするのは人であるということ

結局のところ、お金で知的好奇心や時間を買うことはできません。好奇心を養うには教養が必要ですし、時間は自分でマネジメントしなくてはなりません。もちろん、これらを満たすためのサポートツールとしてお金を使うことは悪くないでしょう。

さらに、お金では買えず人を幸せにしてくれるのは友人です。私が思う幸福とは、目的や目標、前進への歩みが実感でき、かつ話をしたり聞いたり、助けたいと思える友人がいることです。彼らと食事などしながら同じ時間を過ごせるというのが、最大の喜びなのです。

堀さん2

私でしたら、長きにわたって付き合いがあるのは、学生時代にできた友人です。損得抜きに話しや行動ができ、かけがえのない存在です。他方、いまのような立場になってからは、お金目当てにすり寄ってくる人も少なからずいるので、心から友と呼べる相手はなかなかできないのが本音です。

そんななかで、長い親交を深めているのが、作曲家の三枝成彰さんです。家族ぐるみのお付き合いで、年に3回は旅行に出かけ、2人でもモンゴルやチベット、伊豆の断食道場など、国内外を飛び回るような関係。電話がかかってこない日はなく、週に1度は必ず食事をして、1人では行かないものだから、ジムも2人して通っています。昨年は三枝さんが作曲、私が原案・原作を手がけたオペラ「KAMIKAZE‐神風‐」も上演しました。

エンリッチ編集部

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