ENRICH(エンリッチ)

The Style Concierge

時短の達人が伝授。
限られた時間で劇的な成果を上げる作業効率法

仕事の効率化や生産性を上げることは、社会人であれば誰もが課題とするテーマ。これについて多くの講演会を行い、著書を出版している知的生産研究家、株式会社ショーケース・ティービーCOOの永田豊志氏に、経営者層に向けた時短術について聞いた。

起業や新規事業開発などをやる傍ら、仕事の効率化や知的生産力のアップに着目し、独自のノウハウを蓄積してきた永田氏。
起業や新規事業開発などをやる傍ら、仕事の効率化や知的生産力のアップに着目し、独自のノウハウを蓄積してきた永田氏。

年齢や立場によって効率化の内容も変わる

「そもそも仕事の効率化と一言に言っても、年齢や立場によってその内容やテクニックは変わってきます。エンリッチの読者層のように経営者や企業の重要なポストに就くと、“作業”よりも“考える”ことのシェアが格段に高くなってきます。私自身、20代、30代の頃というのは、目の前にある細かな一つ一つの作業効率を上げることにスポットを当てていましたが、今では最終的に自分がどういうアウトプットができるかを重視するようになりました。経営者の一日の効率をあげるためには、思考の効率化のための勉強や思考を引き出す人脈やネットワークを作るといったことのほうが重要になってきます。そのためにまずは、根本から仕事の価値観を見直すことから始めてみましょう」

効率化は、自分の「価値観」を知る事から始まる

「私が提唱していることの一つに、『時間管理』とは『価値管理』であるという考えがあります。現在やっていることが、果たして人生の目標や大切にしていきたいもの(=価値観)に繋がっているかどうかということです。むやみに日々の業務効率化を目指しても、最終的に自分にとって無駄なことであれば意味がありません。経営者である自分が社会や従業員、家族に対してどうありたいかをはっきりさせることで、自然とその目標を成し遂げるための計画が見えてきます。その最短距離をいくために、日々の仕事を効率化することが大前提としてあります」

仕事の取捨選択を明確にする

「自分の一番強みだと思えること以外は、専門家や人に任せる決断が必要となります。たとえば会社設立にあたって、本来は行政書士に任せられる登記などを経費削減のためにと、自分でやる事は経営者にとって無駄な時間と言えます。そういった細かい作業は社員や専門家に任せ(コラボレーション)、従業員が最高の能力で仕事できる環境をつくることや、世の中の流れを見て会社の大方針を決めるなど、経営者としての任務の邁進することが効率化の大前提といえるでしょう。自分の立場において、何が重要で何が無駄かを明確にすることも重要なことです。また、一人では生産性を2倍、3倍にすることは不可能であり、トップのポジションに近づくほど、チームやコラボレーションなどの人脈を上手く利用していくことが必要だと言えます」

 


永田氏が書いた一日の時間割。24時間を「基礎」「付加価値」「業務」の順番にトップオフしていく。
永田氏が書いた一日の時間割。24時間を「基礎」「付加価値」「業務」の順番にトップオフしていく。


時短術についての永田氏の著書「結果を出して定時に帰る時短仕事術」。他にも「知的生産力が劇的に高まる最強フレームワーク100」などを出版(ともにソフトバンククリエイティブ刊)。
時短術についての永田氏の著書「結果を出して定時に帰る時短仕事術」。他にも「知的生産力が劇的に高まる最強フレームワーク100」などを出版(ともにソフトバンククリエイティブ刊)。


業務にかかる正確な時間感覚を知る

「その上で日々の効率化を進めるためには、まず経営者から従業員まで個人個人が何にどのくらいの時間を使っているかを正確に把握する必要があります。予定していた業務の時間配分など行動の一つ一つが自分の予定通りに運んでいるか、ストップウォッチを使って確認します。たとえば、ある業務を30分で終えると見積もっても、実際には45分かかっていたり、逆に予想より短い時間で終えていることもあります。何をやっていたか、どの程度集中していたかによって時間感覚は大きく違ってくるからです。経営者や従業員の時間感覚や行動を正確に把握することで、一日の流れを俯瞰で見ることができ、無駄な時間に気付いたり、各自の集中力やスキルの有無も知る事ができるでしょう」

トップオフの考え方で一日の時間割をつくる

「能力のある人でも、きっちり時間管理をしている人は意外に少ないものです。ビル・ゲイツや孫正義、普通のサラリーマンや主婦も、みな1日は同じ24時間。彼らが時間割を作っているかはわかりませんが、一日の過ごし方で大きな差がついているということ。ですから目標を決めたら一日の時間割を作りましょう。まず一日を『基礎』、『付加価値』、『業務』に分けます。『基礎』は生活の基盤となる時間で、睡眠や家族との食事、入浴、運動など、毎日安定したコンディションで仕事に向かうための大切な時間です。この最も重要な『基礎』の時間を24時間から一番にトップオフし、次に『付加価値』の時間、つまり将来への投資の時間を設けます。勉強や人脈作りなど、私は1日に2〜3時間取っています。冒頭で述べた思考の効率化のために、フレームワークや経営分析の手法を学んだり、将来に向けた新分野の勉強や人脈づくりをすることなども、投資の時間となります。そして残った時間を業務にあてます。こう言うと仕事の優先順位が低いように感じるかもしれませんが、集中力は限られた時間のなかで発揮できるものですから、業務はタイムリミットを決めてやることが効率化にとってもベストな方法なのです」(写真図参照)

集中力をあげるためには?

「簡単なことから言えば、まず午前中の昼食までの時間に、難しいテーマについての課題やアイディアを必要とするようなクリエイティブな業務を、静かな場所で行うことです。人間は満腹になると集中力が落ち、空腹感が強くなるほど集中力が増す傾向にありますから、ランチはできるだけ遅い方がいいでしょう。そして、昼飯後は作業ベースの仕事を会社で行います。また、仕事中にメールや電話、facebookなどのIT機器は、集中力の妨げとなるのでオフラインにします。デスクに関係ないものは置かないことも大切です。本当に集中力の必要な仕事はノートとペンだけを持って、喫茶店などへ行くこともおすすめです」

エンリッチ編集部

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