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ベントレー フライングスパー 

そのワインディングでは、フライングスパーがスポーツサルーンであることを実証する。ドライブモードをスポーツにするとサスペンションが硬くなり、アクセルオンで沈み込むように加速する。その様はまんまスポーツカーと言えよう。

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コーナーではロールを抑えながら路面に貼り付くように駆け抜けるのが気持ちいい。いくつかのS字コーナーを抜ける頃には、リアドアが付いているのを忘れてしまうほどだ。

それでも、足が硬すぎてキャビンをシェイクするなんてことにはならない。これはエアサスのセッティング優れているのと、剛性の高いプラットフォームで足を比較的柔らかく設定できるメリットだ。ストロークが長く、ほとんどのギャップはバネ下で吸収されるといった印象となる。

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高速道路ではドライブモードをコンフォートにして走行してみた。するとそれはまさに雲の絨毯的乗り心地。フワフワした気持ち良さは格別だ。もちろん、それでいてしっかり安定感があるのもお知らせしておこう。単なる柔らかさではなく、ビシッと芯のあるソフトライドなのだ。

そして、こうした2つのドライブモードを意図せずして楽しめるのが、ベントレーが推奨する“B”モード。各部センサーがモニタリングし、ドライバーの意を汲んで最適なハンドリングやシフトタイミング、ライドコントロールをしてくれる。これこそじつに贅沢なシロモノである。

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エンジンは改良型の6リッターW12ツインターボのT S I。最高出力635ps、最大トルク900Nmというモンスター級スペックとなる。この数字に誰も不満はないだろう。このエンジンパワーで前述したような快適な乗り心地と扱いやすいパフォーマンスを見せてくれるのだからたまらない。これこそベントレーの真骨頂。すでにお乗りの方はご存知でしょうがね。やっぱベントレーは別格なクルマである。

九島辰也

九島 辰也 (くしまたつや)

モータージャーナリスト兼コラムニスト/ 日本カーオブザイヤー選考委員。「Car EX(世界文化社)」「アメリカンSUV/ヨーロピアンSUV&WAGON(エイ出版社)」編集長「LEON(主婦と生活社)」副編集長を経て、現在はモータージャーナリスト活動を中心に様々なジャンルで活躍。2015年からアリタリア航空機内誌日本語版編集長、2016年から「MADURO(RR)」総編集長もつとめる。

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