そのワインディングでは、フライングスパーがスポーツサルーンであることを実証する。ドライブモードをスポーツにするとサスペンションが硬くなり、アクセルオンで沈み込むように加速する。その様はまんまスポーツカーと言えよう。
コーナーではロールを抑えながら路面に貼り付くように駆け抜けるのが気持ちいい。いくつかのS字コーナーを抜ける頃には、リアドアが付いているのを忘れてしまうほどだ。
それでも、足が硬すぎてキャビンをシェイクするなんてことにはならない。これはエアサスのセッティング優れているのと、剛性の高いプラットフォームで足を比較的柔らかく設定できるメリットだ。ストロークが長く、ほとんどのギャップはバネ下で吸収されるといった印象となる。
高速道路ではドライブモードをコンフォートにして走行してみた。するとそれはまさに雲の絨毯的乗り心地。フワフワした気持ち良さは格別だ。もちろん、それでいてしっかり安定感があるのもお知らせしておこう。単なる柔らかさではなく、ビシッと芯のあるソフトライドなのだ。
そして、こうした2つのドライブモードを意図せずして楽しめるのが、ベントレーが推奨する“B”モード。各部センサーがモニタリングし、ドライバーの意を汲んで最適なハンドリングやシフトタイミング、ライドコントロールをしてくれる。これこそじつに贅沢なシロモノである。
エンジンは改良型の6リッターW12ツインターボのT S I。最高出力635ps、最大トルク900Nmというモンスター級スペックとなる。この数字に誰も不満はないだろう。このエンジンパワーで前述したような快適な乗り心地と扱いやすいパフォーマンスを見せてくれるのだからたまらない。これこそベントレーの真骨頂。すでにお乗りの方はご存知でしょうがね。やっぱベントレーは別格なクルマである。