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メルセデスベンツ 
Sクラス カブリオレ

そんなクルマだけにパワーは十分だし、乗り心地だって悪いはずがない。まんま雲の絨毯にでも乗っているようにスーッと動きだし、ドーンと加速する。屋根が開くことでボディが柔かったり、補強で重く感じられたりする気配も一切ない。ワンディングだってこのサイズのボディでヒラリヒラリと向きを変えて駆けていくのだから……不思議だ。

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欠点を探ってやろうとしてもなかなか得られないのが欠点かもしれない。もちろん、その辺を補っているのは最新の電子デバイス。Sクラス以降、Sクラスクーペでアップデートされたものまでかなりの割合で装備される。

ルーフトップは5層のファブリックとその合間にウレタン樹脂を詰め込んで成形される。それを油圧で稼働するという仕組みだ。電動式でなく油圧式なのは面積の大きなルーフを力強く静かに動かせるから。確かに、こんなにルーフの稼働が静かなのはなかなかない。最近だとロールスロイスドーンで体感したくらいである。稼働時間はおよそ20秒。スイッチひとつで頭上に青空が広がる。時速60キロまでなら走行中でも動かせる設定だ。

というのがSクラスカブリオレの簡単なプロフィール。まぁ、ここまでくるとメルセデスの意地みたいなものを感じる。

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ベントレーでもロールスでもフェラーリの12気筒でもない、ドイツ製ウルトララグジュアリーの神髄を見よ!的な。で、冒頭の結論に達する。メルセデスベンツは侮れない……。

九島辰也

九島 辰也 (くしまたつや)

モータージャーナリスト兼コラムニスト/ 日本カーオブザイヤー選考委員。「Car EX(世界文化社)」「アメリカンSUV/ヨーロピアンSUV&WAGON(エイ出版社)」編集長「LEON(主婦と生活社)」副編集長を経て、現在はモータージャーナリスト活動を中心に様々なジャンルで活躍。2015年からアリタリア航空機内誌日本語版編集長、2016年から「MADURO(RR)」総編集長もつとめる。

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九島辰也

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