ENRICH(エンリッチ)

The Style Concierge

いま復活する、フランス生まれの高級車

さて、そんなDSブランドだが自体的なモデルはというと、いきなりオリジナルが登場するわけではない。既存のシトロエンブランドのものをスライドする。具体的にはDS5、DS4、DS3だ。どれもシトロエンというブランド名が取れて、“DS”となった。

SME201506_14

そしてこのタイミングでマイナーチェンジしたDS5を発表した。日本にも秋に上陸するのでその目で見てほしい。マイナーチェンジなので大掛かりなことはできないが、それでも“DSっぽく”なった。というのも、このブランドのもうひとつのキーワードは“アバンギャルド”、つまり前衛的ということだ。なので、そもそもそのテイストのあったDS5だが、グリルまわりの意匠変更でそれを強くしている。イメージ的にはよりエッジが効いた感じだ。

また乗り心地も当時のDSに合わせたセッティングとした。新開発のダンパーを用いて、乗り心地をよくしている。あの頃フランス車の乗り心地は“雲の絨毯”なんて形容されていた。まだ地方は道路が舗装されてなく、木の根っこでどこもかしこもデコボコしていたのがその要因だ。DSはハイドロニューマチックというサスペンション構造で独自の乗り味を築いていた。

DSは2020年までにこのクルマを含め6つのモデルをラインナップする。新しいブランドとして独立したイメージを持たせるにはそのくらい必要だろう。そして目指すはズバリ、アウディのポジション。前衛的なデザインとクオリティの高い素材を用いることでそこに挑む。

魅力的なスポーツコンパクトが顔を並べるフランス車だが、これで新しく高級車カテゴリーが生まれたことになる。さてさて、果たしてこの戦略は吉と出るか凶と出るか。その動向をしばらくは見守りたい。

九島辰也

九島 辰也 (くしまたつや)

モータージャーナリスト兼コラムニスト/ 日本カーオブザイヤー選考委員。「Car EX(世界文化社)」「アメリカンSUV/ヨーロピアンSUV&WAGON(エイ出版社)」編集長「LEON(主婦と生活社)」副編集長を経て、現在はモータージャーナリスト活動を中心に様々なジャンルで活躍。2015年からアリタリア航空機内誌日本語版編集長、2016年から「MADURO(RR)」総編集長もつとめる。

連載コラム

九島辰也

Return Top