ENRICH(エンリッチ)

The Style Concierge

「べっ甲メガネの魅力とは?」


Q

「オーダーメイドもできますか?」


A

「仮縫い付きでピッタリのフレームをお作りします」

仮フィッティング用のセルフレームを仕上げているところ。その製作過程は、べっ甲製の本番用と変わらない。

——オーダーメイドは出来るのですか?

「はい、できます。顔の形は人それぞれです。鼻から耳への距離、顔の幅、耳の高さなどを測定し、お客様にぴったりの1本をお作りすることができます。必要であれば、まずセル素材で一回“仮縫い”用のメガネをお作りし、フィッティングを確かめてから、べっ甲で本番用を作ります」


Q

「保管や修理はどうすればいいですか?」


A

「大切に扱って欲しいポイントがあります」

天然素材ゆえ、べっ甲フレームの保管には、温度差、乾燥、そして虫喰いに気をつけなければならない。

——べっ甲メガネの保管について、何か気をつけることはありますか?

「毎日ご愛用頂いている分には、あまり問題はありません。問題は、長期間かけていない時に起こります。べっ甲は天然素材ですので、寒暖の差や乾燥に弱いのです。エアコンの風が直接当たるところや、日差しの強いところに置いておくのはNGです。それから、防虫剤はマストです。べっ甲は有機物なので、虫喰いが起こります」

——万一、壊れてしまったら、直せますか?

「べっ甲メガネのいいところは、状態が悪くなければ修理・修復が可能なことです。実際にお父様やお祖父さまの愛用していたメガネを修理にお持ちになる方もいらっしゃいます。当社で作ったものでなくても、日本製であれば、可能な範囲で修理をお受けしています。べっ甲メガネは大切に扱えば一生ものです。ご購入頂いた方には、末長く愛用して頂けます」

工房の様子。中にはその道50年の大ベテランもいる。べっ甲製品の修理も請け負っている。

Q

「メガネ以外のべっ甲製品についても教えて下さい」


A

「いろいろありますよ!」

——メガネ以外には、どういったべっ甲製品がありますか?

「ブックマーク、各種アクセサリー、耳かきなど、いろいろあります。リングなどは、数千円からお求めいただけます。このあたりは昨今の谷根千ブームのおかげで、大勢の人々が訪れてくれます。昔は、近所の人しか歩いていなかったのですが(笑)。ぜひ谷根千散歩のついでに当店を訪れてほしいですね」

べっ甲製品の数々。小皿、ブックマーカー、ピアス。

大澤鼈甲


昭和31年創業、べっ甲細工の専門店。2階に位置した自社工房にて作られたべっ甲フレーム、アクセサリーの数々を販売している。眼鏡店としても秀逸で、検眼やレンズの相談もできる。千駄木を代表する名店である。

住所:東京都文京区千駄木3-37-15
TEL:03-3823-0038
営業時間:9時〜18時(土曜日は17時まで)
定休日:日・祝日
www.osawabekko.co.jp


※掲載した価格は、すべて税別。

撮影=岡田ナツ子

松尾 健太郎 (まつお けんたろう)

THE RAKE 日本版編集長、クリエイティブ・ディレクター
株式会社世界文化社にて、月刊誌メンズ・イーエックス創刊に携わり、クラシコ・イタリア、本格靴などのブームを牽引。‘05 年同誌編集長に就任し、のべ 4 年間同職を務めた後、時計ビギン、M.E.特別編集シリーズ、メルセデス マガジン編集長、新潮社 ENGINEクリエイティブ・ディレクターなどを歴任。現在、インターナショナル・ラグジュアリー誌“THE RAKE”日本版編集長。

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松尾健太郎

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