内藤 つまり、説得材料を用意して、融資に臨むというわけですね。
松石 前提として「投資資金」ではなく「事業資金」として金融機関に融資を申し込みます。よって、「海外不動産で儲けたい」というスタンスだとうまくいかないケースが多いです。
内藤 「海外事業資金として不動産事業に取り組みたい」ので申し込むという流れですね。ならば、経営計画や事業プランを提示しないと融資は通らないでしょうし、国内で「ワンルームマンションが欲しいからお金を貸してほしい」というのとは、かなりワケが違います。
例えば、ベトナムで買うとしたら、金融機関からすると「なぜ?」ってなりますからね。国内で展開していたラーメン店がアジアに進出するのに融資を申し込むなら、「ベトナムは有望なのか」「店舗数の規模」「収益の見込み」「いつから黒字化するのか」など事業計画などを提出する必要があります。それは不動産投資も同じことです。
松石 本来、銀行から融資を受ける際のサポートは会計士や税理士の仕事ではありません。ところが事業の海外展開であれば、持っている専門的な知識を駆使して、事業として整理して金融機関に示すことができます。そこで、審査をクリアするまでをサポートしているのです。
ーーー海外事業という目的で金融機関から融資を受けて、不動産を購入するという、これまでになかった資金調達のスキーム。次回も引き続き、この手法の中身を追っていこう。
松石滋樹(まついし・しげき)
松石滋樹公認会計士税理士事務所代表
1981年生まれ。東京大学経済学部卒業後、公認会計士2次試験合格後、新日本監査法人に入社。製造業や不動産業の一部上場企業の監査を担当するとともに、外資系ファンドが組成した不動産SPCの監査を担当した。現在は個人事務所に所属し、中小企業の会計・税務をサポートするとともに個人事業主の事業計画立案に携わっている。自身も国内・海外に不動産を保有する不動産投資家でもある。